青色申告に変更するには? 1

 今年は、免税事業者からインボイス発行事業者に変更するので、ついでに白色申告から青色申告に変更することにしました。
 どちらの申請もe-Taxソフトで可能とのこと。

 青色申告ができるのは「事業所得」「不動産所得」「山林所得」のいずれかの所得がある個人事業主です。「発生主義」で帳簿を記入し、複式簿記で6種類の「補助簿」と2種類の「主要簿」の8種類の帳簿を作成する必要があります。

 これまでも、エクセルのフォーマット(ネット上に落ちている)を使って複式簿記で帳簿をつけていました。その項目で、原稿料などは、発生主義に変更。
 これまでどおり、クレジットカード払いの水道光熱費の経費は、引き落とし日に計上。その他のクレジットカード払いの経費は、「事業主貸」の処理。
 要は、出版社などから振り込まれるお金だけを発生主義で記帳すればよいということです。

現金主義と発生主義との違い

現金主義

 現金の受け渡しがなされたときに会計処理を行います。

発生主義

 現金が実際に動いていなくても取引が発生した時点で会計処理を行います。売上が確定した段階で、収入として認識します(たとえ手元にお金が入ってきていなくても)。
 一般的に、商品(物)やサービスなどを納品した日と、対価が入金される日が異なるため、それぞれの日を帳簿に記入するのです。

 相手先へ納品を行ったら売上と同時に「売掛金」(未収金)という勘定科目が発生します。そして、後日、請求書や契約に基づいて入金があったときに、売掛金がなくなって現金(預金など)が増えるという会計処理を行います。



 3月30日に納品が完了し、その請求書を4月1日に発行したところ、5月30日に入金があったとしましょう。
売上日 3月30日
決裁日 5月30日
 3月30日から5月30日の間は、「売掛金」として扱います。


現金主義から発生主義に変更するタイミングでの注意点


 12月に納品が完了し、請求書を12月に発行したが、入金が1月になる場合、12月に商品を引き渡しているので、発生主義ならば12月の売上として処理をしなければなりません。

12月に商品を10万円で売り、翌1月に入金がある場合
現金主義⇒12月の売上はゼロ、1月の売上は10万円
発生主義⇒12月の売上10万円、1月の売上はゼロ

 令和4年の12月までは現金主義で計上しているとき、入金のある令和5年1月に売上計上することになります。
 発生主義に変更すると、1月の入金は前年12月に売上したものであるため、1月の入金が認識されません。

 この1月分の入金については、発生主義に変更した年の収益として計上し、調整を行います。収益が認識されていない売上については、発生主義に切り替えた年分の所得金額の計算に含めて調整することになっています。

 調整したことについては、青色申告決算書、収支内訳書の右下にある「本年中における特殊事情」欄に、「令和5年に現金主義から発生主義に変更したため、1月〇日の売上は令和4年〇月〇日に発生した分を記入した」などと書いておくとよさそうです。

 なお、現金主義の支払調書と、発生主義の請求合計額は、異なってしまいます。10月末に発売した本の原稿料が、翌年の1月に振り込まれることも珍しくないからです。
 このずれについては、そのまま申告する形でOKとのこと。

支払調書に記載されている金額は、支払者側からみてその年の1月~12月までに支払ったものの合計額及びその金額について源泉徴収した源泉所得税の合計額です(現金主義)。
これに対して、個人事業者が所得税の確定申告の時に売上として申告するのは、その年の1月~12月までに請求の確定した金額の合計額です(発生主義)。
上記のように支払調書の金額と、自身の1年分の請求合計額とがずれているということはよくあることで、間違いではないのです。
また会社によって、現金主義で作成していたり、発生主義で作成していたりとバラつきがあることもあります。
したがって個人の確定申告のさいには、まず自分が作成している請求書の金額を合計することです。支払調書との差額が集計時期の差だとわかるところまで確認できれば十分です。
確定申告した売上額と支払調書の金額が違っているので税務署から指摘を受けないか?と心配される方もいますが、ご自身の売上の集計を請求書などにもとづき発生主義できちんと行っているのであれば、支払調書の金額と違っていても問題はありません。


水道光熱費は支払日に経費にする

支払日でもOK

電気代などは「1年を通じてだいたい同じような金額」だし、「厳密に使用分を把握するのも手間」なのだから。支払日に経費にしてもOKだろう、ということです。

これを、会計・経理の世界では「重要性の原則」と呼んでいます。

金額的・内容的にそれほど重要でないものを、手間暇かけた処理をする必要もない。簡便的・便宜的処理でOK、という考え方です 


毎年同じ勘定科目で処理してほしい

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