事業を立ち上げてはつぶし、会社の名前をコロコロ変えて、人々のお金を奪っていく人物についての考察

  2018年3月6日公開の東京商工リサーチの記事に、次のものがあります。
 不特定の投資家から集めた31億円が未償還状態になっているソーシャルレンディングの(株)みんなのクレジット(TSR企業コード:014882639、渋谷区、阿藤豊社長、以下みんクレ)に大きな動きがあった。
 2月23日、投資家に対して自社が持つ貸付債権を債権回収会社に譲渡したことをメールで通告、同時にホームページでも掲載した。
 ソーシャルレンディングで高配当を謳い、投資家から資金を募っていた。だが、資金がグループ会社に流れ、昨年3月に金融庁・関東財務局、8月に東京都から相次いで行政処分を受けていた。31億円の未償還債務をわずか1億円で債権譲渡する強引な幕引きに投資家から怒りの声があがっている。


 文中の「ソーシャルレンディング」に対しては、金融庁が警告を発していました。
●いわゆるソーシャルレンディング(融資(貸付)型クラウドファンディング)とは、インターネットを用いてファンドの募集を行い、投資者からの出資をファンド業者を通じて企業等に貸付ける仕組みをいいます。
●ソーシャルレンディングの仲介者が行う行為は、ファンド持分の募集又は私募の取扱い等に該当するため、金融商品取引法の規制対象となり第二種金融商品取引業の登録を受ける必要があります。
登録を受けていない業者の募集等は、詐欺的な商法である可能性が高いため、一切関わらないようにしてください。

https://www.fsa.go.jp/ordinary/social-lending/index.html


 東京商工リサーチの記事の、以下の記述に目が留まりました。
 みんクレは、2017年に金融庁と東京都から2度の行政処分(1カ月間の業務停止命令と業務改善命令)を受けた。
 金融庁によると、みんクレがファンドを通じて得た資金の貸付先の大部分が実質上のグループ企業である(株)ブルーウォールジャパン(2017年10月に(株)テイクオーバーホールディングスに社名変更、TSR企業コード:300010826、渋谷区、白石伸生社長)ほか数社に集中していた。
 みんクレからグループ企業へ融資された資金は、不動産事業の収益から返済するとしていたが、実際は償還期限が到来していない他のファンドで集めた資金を充当していた。さらに、「キャッシュバックキャンペーン」と称して顧客に還元していた現金は、実際は関連企業に貸し付けた資金が還流されていたことも明らかとなった。
 また、創業者の白石伸生・元代表取締役が、集めた資金を自身の借入返済等に充てていたことも発覚するなど、類を見ない杜撰な実態が白日の下にさらされた。同庁の検査結果では「ファンドからグループ企業への貸付金は返済が滞る可能性が高い」と結論付けられた。
 業務停止命令の期間終了後も、「早急な業務の改善を目指す」として新規の投資勧誘等は休業した。一方、2017年4月29日には創業者の白石代表が辞任し、阿藤豊氏が新たな社長に就任した。

 創業者の白石伸生氏は、どのような経歴の持ち主なのでしょうか。検索すると、最初にヒットしたのがプロレスに関係する東スポなどの記事でした。
全日本プロレスの経営が苦しくなっていく中、2012年11月に白石伸生新社長の体制になって、立て直しを図ることになったんだ。

2012年11月1日に、スピードパートナーズ(現:八丁堀投資)の社長(当時)白石伸生が全日本プロレスの株式を100%取得しオーナーになる。

 「スピードパートナーズ」については、またしても東京商工リサーチの記事がありました。
 八丁堀投資(株)スピードパートナーズの商号で企業再生投資コンサルティングとITモバイル、Eコマースシステム構築の3事業を主業務として事業展開。

 東洋経済のサイトでは、白石伸生氏が、冒頭のみんなのクレジットを手掛けるまでの経緯が書かれていました。

みんクレのハク付けにメディアが一役買った面は否めない。たとえば、白石代表は、日経BP社主催「資産承継・相続フォーラム」(2016年10月開催)で「AIによる技術革新が実現するソーシャルレンディングとマイクロファイナンスのマーケットの発展」と題した基調講演をしている。

プロレスファンなら、スピード・パートナーズといえば、故・ジャイアント馬場氏が率いた全日本プロレスのオーナーに突如登場し、脚光を浴びた2013年初のことを覚えている方もいるかもしれない。

また、昔からの個人投資家なら、ラ・パルレ、サクラダ、大和システム、新井組の企業再生でスピード・パートナーズが登場したことを思い出す方もいるだろう。学生時代にブライダル関連企業「シーマ」を立ち上げ、ネットバブル期にも1999年にネット関連企業のスピードネットを創業し脚光を浴びた。その後に流通ベンチャーとしてもてはやされたこともある。

白石代表は2013年年央にスピード・パートナーズ社の役員を辞任。同社は八丁堀投資に商号変更した後、翌2014年に自己破産している。白石代表はその約2年後にみんクレを始めた。

これらの経緯をたどると、白石代表はIT革命や企業再生などその時々のブームを追い風とし、世間の注目を集めてきた。今回はフィンテックブームを追い風に巨額の資金を集めているように見える。


 ブライダル関連企業「シーマ」について調べると、以下の情報がヒットしました。1994年には、白石伸生氏は早稲田大学の大学生だったようです。
元記事はsankei.bizとみんかぶのようですが、現在、消えていました。

1994年、早稲田大学在籍中にブライダルジュエリー・ウェディングプロデュース事業を取り扱う株式会社シーマ(JASDAQに上場)を設立する(その後売却とともに辞任)。

1999年、ブライダルリング専門店「プリモ・ジャパン株式会社」、ペット保険会社「アイペット損害保険株式会社」などの新規事業を立ち上げ。

2012年、「株式会社ブルーウォールジャパン」を設立。(みんなのクレジットの親会社)

2015年、株式会社みんなのクレジットを設立。

2016年みんなのクレジットのサービス開始。たった5ヶ月で成立ローン10億円を突破するという快挙を成し遂げ注目を集める。

 みんクレの親会社である株式会社ブルーウォールジャパンの情報として、転職サイトには以下の文章がアップされていました。
当社の代表白石は、7人の子どもの父親。誰より仕事と家庭を両立させる大変さを理解しています。だから、子どもを持つ社員が充実の日々を送れる環境を整えています。

 どうやら白石伸生氏の子どもたちは、白石氏の仕事を手伝っているようです。掲示板の情報です。
幼児教室のAIQの合格者数がちょっとありえない数字で一部で詐欺じゃないかと言われていますが、このAIQの代表者「白石優太」とはみんクレの元役員で白石伸生の息子と言うのは本当ですか?
「白石優太」とはみんクレの元役員で白石伸生の息子ですよ、
詐欺一族なので関わってはだめです

 AIQの白石優太氏は、インタビューで以下のように答えています。早稲田大学法学部に在籍しているときに、学生起業を行ったとのこと。
私は7人兄弟の長男で、弟たちに勉強を教えていましたので、学びに携わる機会が多い環境でした。そのことが、影響していると思います。

 白石優太氏は、週刊東洋経済 2018年4/14号で、白石伸生氏の息子だと書かれていました。15年7月~17年7月に、白石伸生氏が代表取締役を務めるテイクオーバーホールディングスの取締役になっています。

 ごちゃついてきたので、まとめてみましょう。

1967年 白石伸生氏の父親である白石幸生氏が、美術品販売を行う株式会社ホワイトストーンを創業。白石幸生氏には3名の子どもがいて、白石伸生氏は二男。

1992年 白石伸生氏の父親である白石幸生氏が、さくら画廊を設立。横山大観や川合玉堂などの高級絵画を販売。

1994年 白石伸生氏が、早稲田大学政治経済学部在籍中にブライダルジュエリー・ウェディングプロデュース事業を取り扱う株式会社シーマを創業。

1997年 白石伸生氏の息子である優太氏が誕生。

1999年 白石伸生氏が、父親である白石幸生氏と対立。白石伸生氏の弟である幸栄氏が、24歳で社長を引き継ぐ。
        白石伸生氏がブライダルリングのプリモ・ジャパン株式会社、ペット保険のアイペット損害保険株式会社、ネット関連企業のスピードネットなどの新規事業を立ち上げ。

2000年 株式会社シーマがジャスダックに上場。

2005年 さくら画廊関係者の株保有をめぐる情報開示が適切でないとして、ジャスダックはシーマ株を監理ポストに割り当てた。

2006年 白石伸生氏が、企業再生支援会社の株式会社スピードパートナーズを設立。

2007年 白石伸生氏の父親である白石幸生氏(当時62歳)が、「シーマ」株などの取引による所得約6億2000万円を隠し、所得税約7100万円を脱税したとして、東京地検特捜部 から所得税法違反容疑で逮捕される。
                        白石伸生氏が株式会社レッドウォールジャパンを創業。白石伸生氏の資産管理会社で、社長個人が100%株式を保持。

2012年 白石伸生氏が株式会社ブルーウォールジャパンを設立。
        白石伸生氏が社長を務める株式会社スピードパートナーズが、全日本プロレスの株式を100%取得し、オーナーになる。

2013年 白石伸生氏が株式会社スピードパートナーズの役員を辞任。スピードパートナーズは八丁堀投資に商号変更。
                        株式会社スピードパートナーズより株式会社レッドウォールジャパンが、全日本プロレスの株式譲渡を受けた。全日本プロレスリングシステムズを設立して全日本プロレスの運営会社としたが、全選手とスタッフが退社してオールジャパン・プロレスリング株式会社(2014年設立)に移籍した。

2014年 八丁堀投資が自己破産。                     

2015年 白石伸生氏が株式会社みんなのクレジットを設立。
        白石伸生氏の息子の優太氏が、株式会社ブルーウォールジャパンの取締役に(2017年7月まで)。
https://news.livedoor.com/article/detail/14551217/より



2017年 株式会社みんなのクレジットが、金融庁・関東財務局、東京都から相次いで行政処分を受けた。
        株式会社ブルーウォールジャパンが株式会社テイクオーバーホールディングスに商号変更。

2018年 株式会社みんなのクレジットが株式会社スカイキャピタルに商号変更。

2019年 白石伸生氏の息子の優太氏が、早稲田大学法学部在籍中(4年生)に学習塾のAiQを設立。

2020年 株式会社スカイキャピタル(みんなのクレジット)と関連企業4社に、個人投資家22人が損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は原告側の請求を全面的に認めて計約9300万円の支払いを命じた。
                       ※この訴訟の後日談がhttp://kennygorou931.blog84.fc2.com/blog-entry-1517.htmlに。

■上に掲載し切れなかった参考資料(情報をネットに残してくださった皆様に感謝)
https://ameblo.jp/vous-voulez/entry-11565701889.html
https://twitter.com/hamanaka334/status/845202066452602880
http://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20140516_02.html?s=rss
http://battle-news.com/news/2013/08/001908.php
https://xn--zckzczcd7076bwdw.blog.ss-blog.jp/2014-07-05
https://news.livedoor.com/article/detail/14551217/
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