「書店と図書館では、フェアの打ち方が違うんですね」 だったら、どうする?
「書店と図書館では、フェアの打ち方が違うんですね。図書館は同じものが1冊しかありませんが、書店の場合はフェアとなると同じものを10冊20冊、しかも10点20点と大きな島にして、そこにポップをつけたりして、やるわけですね」
『本屋と図書館の間にあるもの』(著/伊藤清彦・内野安彦、郵研社)で、伊藤清彦さんがこのように述べていました。
もしも図書館でフェアを行う場合、蔵書が全部借りられていたら、コーナーに並べる本がないということ。
一方、書店だと数の力が使えます。迫力が出ます。一時期は「タワー積み」が評判になったこともありました。
ただ、配本してもらった以上は、その冊数を売るというミッションがあるので、要注意。
伊藤清彦さんがかつて本店店長だったさわや書店は、ポップがとても有名です。
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| さわや書店本店Twitterより |
一方、同じ書店業でもブックスキューブリックの店主の大井実さんは、ポップは極力付けない主義のようでした。
POPをまったく付けなかったわけではなく、いい本なのに表紙や帯だけではせっかくの内容が伝わりづらい時や、特別に目立たせたい時に限っては付ける。
地元つながりで本を紹介する場合、ポップがなければそれは伝わってきません。
「この人(この会社)とは地元つながりだ」を伝えるだけでなく、作家の個性がわかるフレーズを添えたほうがよさそうです。「小川を見つけると、つい上流までたどっていくのが子どもの頃からの癖です」などと、読者と共通点がありそうな項目を挙げるというのも一案(ちなみに、川の源流を探す癖の持ち主は永井荷風)。
つまりは、読者に身近に感じてもらえる要素を、わかりやすく伝えるということ。それは作家のキャラクターでも、作家が追っているテーマでもかまいません。
過去に「本は内容で勝負するのであって、作家の属性を出して売ろうとするなんて下品だ」といったことを、『クラナリ』編集人は聞かされたことがあります。まあ、いろいろな考え方がありますね。
話を「書店と図書館では、フェアの打ち方が違うんですね」に戻しましょう。
書店だと、フェアは本が店頭に確実にあるのが大前提で、「在庫ゼロでも開催します!」はあり得ません。
また、「新鮮さ」も求められているため、フェアは短期決戦。話題性があるものに切り替えていく柔軟さも必要な気がします。
一方、図書館はフェアで並べる本がない(蔵書ではない、借りられてしまった)可能性も考慮して、来場者に作家や書名を覚えてもらい、図書館カウンターで予約してもらう、あるいは近所の書店で買ってもらう必要性があります。ただ、覚えるのも大変なので、チラシがあったほうがよさそうですね。
図書館の本については、カバーにフィルムが貼られているため、見た目が均一化し、「装丁に魅かれて読んでみる」ことは少ないのではないかと。
また、帯は外されています。
ですから、図書館でのフェアならばポップはあったほうがいいし、チラシも作ったほうがよさそうです。
そして、「借りられていた本が返ってくる」というプロセスを考慮して、長めにフェアを行うことも大事かもしれません。
※さわや書店本店のツイート数は少ないと気付きました。5月22日の時点で、最新ツイートは3月10日。
「オンライン書店でいくら売れてもベストセラーにならない」という話を個人的に聞いていて、もしかしたらさわや書店本店はSNSよりもポップに労力と時間を使ったほうがよいと考えているのかもしれません。違うのかもしれませんが。

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