患者数急増の「梅毒」は、保健所で無料で検査が受けられ、抗生物質で治癒する

梅毒感染者数 過去最多ペース上回る “身近な”病気に!?

梅毒の増加傾向、2023年も歯止めかからず 21年から最多更新続く

古くは“家康の次男”もかかり死亡…去年全国約1万3千人が感染『梅毒』の歴史 江戸時代は遊郭などで急増

 梅毒(ばいどく)は、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)という細菌による感染症です。人気漫画『薬屋のひとりごと』でも、梅毒の患者が描かれていました。とても美しかった妓女が、梅毒で脳が侵され、鼻がもげて落ちてしまっていました。

 日本で梅毒の患者数が増えているということなので、どんな病気なのかを調べてみました。

症状

第1期 感染後3週間~3カ月

 梅毒トレポネーマが侵入した部位(陰部、唇、口の中)に、しこりができます。しこりはすぐに消えますが、潰瘍(ただれ)ができることがあります。
 そして、太もものつけ根である鼠径部で、リンパ節が腫れることがあります。

 梅毒トレポネーマは、直径が0.1~0.2μm(マイクロメートル)、長さは6~20μm。
※1μm=10⁻⁶ m =0.001mm
梅毒トレポネーマ(国立感染症研究所「梅毒とは」より)


第2期  感染後3カ月~3年

 全身のリンパ節が腫れます。また、発熱、倦怠感、関節痛などの症状が出る場合があります。
 赤い発疹が手のひらや足の裏、顔面に現れ、全身に広がります。発疹は1カ月程度で消失しますが、梅毒トレポネーマは体内に残っています。

梅毒リーフレットより



第3期  感染後3~10年

 皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)が発生します。

第4期  感染後10年以上

 多くの臓器に腫瘍が発生したり、脳、脊髄、神経を侵されて進行麻痺(麻痺性痴呆)や脊髄癆を起こしたりして、死に至ることがあります。

原因

 梅毒トレポネーマが、主に性的な接触で、口、性器、肛門などの粘膜や皮膚から感染して発症します。感染者の血液や傷口からの浸出液、精液、膣分泌液に、梅毒トレポネーマが含まれています。

 感染者とコンドームを着用せずに性行為をすると、3割程度の確率で感染するとのこと。コンドームを着用すると感染するリスクは低くなります。ただ、完全に防げるとはいえないようです。
 また、キスで感染する確率は低く、握手など日常的な接触では感染しません。


診断・治療

 抗生物質のペニシリンが使われます。梅毒は「治癒する病」と谷口医院院長の谷口恭医師が語っています。

 ペニシリンは医師による処方が必要な薬なので、病院を受診しましょう。
 厚生労働省のサイトでは、医師による診察と、血液検査(抗体検査)で梅毒かどうかが判断され、ほとんどの医療機関で血液検査が可能とのこと。
 一般的には、症状が現れている部位ごとに、婦人科や泌尿器科、皮膚科などを受診することが多いようです。

 千葉県では、無料・匿名で梅毒の検査が保健所で受けられます。

 梅毒は、何度でも感染します。「1回かかったから、もう平気」というわけにはいきません。

歴史

 1492年に、スペインのコロンブスは、カリブ海のサンサルバドル島(またはハイチ島)に到着しました。翌年の1493年に、コロンブスは先住民捕虜などを携えてスペインへ帰国しました。
 アメリカ大陸とユーラシア大陸の人々が交流することになり、梅毒はアメリカ大陸からユーラシア大陸に流入しました。
 アメリカ大陸の住民の体内では、梅毒トレポネーマがすみ着いても、症状は現れなかったようです。しかし、ユーラシア大陸の人々の間では症状が強く出て、急速に感染が拡大しました。

 このように、アメリカ大陸からスペインへと持ち込まれ、ヨーロッパに梅毒が広まったのです。

 イタリア戦争下の1494年に、ナポリ遠征中のフランス王シャルル8世の軍隊で梅毒が流行しました。当時は症状が激しかったために、シャルル8世は遠征の継続をあきらめて帰国しました。シャルル8世も梅毒で亡くなったとのこと。
 日本では江戸時代の1512(永正9)年に、大坂(現・大阪)で梅毒が流行したという記録が残っています(場所については、京都という説も)。
 第2次世界大戦後の1949(昭和24)年には、日本で年間17万6000人が梅毒を発症したと報告されています。

 1928年に、イギリス・スコットランドの細菌学者であるアレクサンダー・フレミングが、抗生物質の「ペニシリン」を発見しました。
アレクサンダー・フレミング(Wikipediaより)

 梅毒の特効薬であるペニシリンが実用化し、1990年代の日本では年間500人程度の発生となっていました。

 ところが、2022年には約1万3000人が感染したと報告されています。
 傾向としては、男性が20~50代で多いのに対し、女性は20~24歳が突出して多いということ。ふわっと、人気漫画『明日、私は誰かのカノジョ』で、パパ活をしていたリナを思い出してしまいました。



 

■参考文献





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