優先すべきは、掃除よりも片づけ。隠す収納より見せる収納

 さまざまな掃除法を調べて、実践してきた中でわかったのは、年齢を重ねたら、掃除よりも片づけを優先すべきということ。

 まず、掃除はアウトソーシングできます。
 これは対人間(業者、ヘルパー)に限らず、床なら掃除ロボットなど、家電にも任せられます。

 一方、片づけは、アウトソーシングできません。要・不要の判断ができるのは、自分の脳だけです。


 次に、掃除はしなかったからといって、お金はかかりません。

 しかし、片づけなければ、必要な物がすぐに見つからず、買い足す羽目に陥ります。結果として、無駄遣いを増やすことになります。


 そして、人間は多少のホコリやカビ程度では、病気にはなりません。

 ただ、物が片づけられず、手つかずの状態だとホコリが積もります。さらに、空気の流れも悪くなるのです。

 健康に暮らすための重要度は、掃除よりも片づけのほうが高いということになります。

 片づけには処分するという作業が含まれるため、荷物を運び出すといった肉体作業を伴います。体力と気力が本格的に落ちてくる前に取り組みたいのは、片づけなのです。

photo/Steve Johnson

 片づけの基本は、身の回りの物を減らしていくこと。
 物を分類してクローゼットなどに収めても、片づけにはならないということを、義理の母親の部屋の掃除で実感しました。

 義理の母親の部屋の掃除については、「身の丈に合ったゆるゆる片づけを 『58歳から日々を大切に小さく暮らす』」で紹介しています。

 義理の母親は、スーパーの白いレジ袋に肌着や靴下などを分類して、収納ボックスにしまい込んでいました。レジ袋に入れた結果、中に何があるのかは袋を開けなければ確認できない状況になってしまい、ひいては「確認すらしない」事態に陥っていたのです。

 痛感したのは、年齢を重ねたら、隠す収納ではなく見せる収納にシフトすべきということ。気力も体力もないから、「いちいち袋を開けなければならない」という状態にすると、身の回りの物を把握できなくなるのです。

 収納術では、生活感を見せないことが重視されるパターンが多々あります。私が取材した中では、「歯ブラシもしまい込む」という内容がありましたが、風通しの悪いところに置くと雑菌が繁殖しやすくなります。その意味で、見せる収納のほうが健康的。

 生活感、上等!
 すぐに見えるところに物を置いて、手の届く範囲に収めるように片づけましょう。
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