経済的に豊かになるだけではなく、人生を豊かにするための方法を考える 『DIE WITH ZERO』

 生きているうちに金を使い切ること、つまり「ゼロで死ぬ」を目指してほしい。
 そうしないと、人生の限りある時間とエネルギーを無駄にしてしまう。

  私たちは、日常生活で無駄をなくそうと、つい努力をしがちです。もしかしたら人生も、ひたすら効率的に生きようとしているだけかもしれません。

 判断基準はいつも「役に立つかどうか」。ちょっとした雑談や衝動買いなどを削って、必要最低限の仕事・用事だけを済ませようと、無意識のうちに心を砕いています。

 でも、どうでしょうか。
 費用対効果のコストパフォーマンス(コスパ)、時間対効果のタイムパフォーマンス(タイパ)にこだわり過ぎることが、毎日を貧しく、みじめにしている感じがしなくもありません。たとえ生活に十分なお金や貯蓄があったとしても、なんだか貧乏なのです。

 私の知人については、大企業に勤め、持ち家があってローンは完済し、子どもは学歴もよく立派に成長しているのですが、先日会食したときには焦っていました。「お金がない」「このままではダメだ」と思い込んでいるようでした。生真面目な性格のためか、数年前に鬱になり、休職していたとも話していました。

 そんな知人を見て、「私たちは、自分の年齢や価値をもう少し鷹揚に考えたほうがよさそうだ」と内心思っていました。
 若いうちはともかく、年齢を重ねてしまった中高年ならば図々しさを発揮して、自分なりに満足度の高い生活を送る工夫が必要なのかもしれません。心を病ませないためにも。



 不思議なことに、コスパ・タイパにこだわって無駄を敬遠しながらも、自分には価値が感じられないものにお金をかける傾向が私たちには見られます。
 理由は「恥」。
 「みんな持っているものだから……」「みっともないから……」などの理由で、欲しくもなく使いもしないものにお金をかけがちです。

 今の日本だと、いかに節約するか、いかに無駄をなくすか、いかに先を見越すかの圧を絶えず感じます。テレビCMの内容が、まさにそうですよね。
 そのため、圧を受けるがままにボーッと生きていると、コスパ・タイパに追われて、見栄を張るために本当は欲しくないものにお金を使い、けっきょく満足できず、心をちょっと病んで、年齢だけを重ねていきそうです。

 「やばい、病む!」という危機感を抱く人は、アメリカでも日本でも少なくないのでしょう。『DIE WITH ZERO』(著/ビル・パーキンス  ダイヤモンド社)が20万部を超えるロングセラーになっています。

私たちは、キリギリスの末路を知っている。そう、飢え死にだ。
しかし、アリはどうなったのか?
短い人生を奴隷のように働いて過ごし、そのまま死んでいくのだろうか?
いつ、楽しいときを過ごすのか?
もちろん、誰もが生きるために働かなければならない。だが、ただ生きる以上のことをしたいとも望んでいる。「本当の人生」を生きたいのだ。
この本のテーマはそれだ。
ただ生きるだけではなく、十分に生きる。経済的に豊かになるだけではなく、人生を豊かにするための方法を考える。

  以下、『DIE WITH ZERO』からの引用。

 まずは、仏教でも説かれている生老病死についての記述。

 人は老化には逆らえない。いつかは誰もが死ぬ。だからこそ、限られた時間のなかで最大限に命を燃やす方法を考えなければならない。
 これは、仏教というより『鬼滅の刃』……
『鬼滅の刃』


膨大な時間を費やして働いても、稼いだ金をすべて使わずに死んでしまえば、人生の貴重な時間を無駄に働いて過ごしたことになる。その時間を取り戻すすべはない。
誰もが死と老化を避けられないことは紛れもない事実だ。
 だから、人生の残り時間を意識しよう。それが現在の行動に大きな影響を与えるはずだ。  

死に対して目を向けないでいると、永遠に生き続けるかのように振る舞ってしまう。人生の計画のバランスを取ることも難しくなる。 
昔の感覚を引きずり、今の自分の体力をうまく把握できていない人は多い。その感覚のズレが、老後もいくつになっても若い頃と同じようなことができるという思い込みにつながっている。

 

 悲しい話ですが、高齢になるほど、体力も気力も、喜びの感情さえも衰えていくのですね。

『DIE WITH ZERO』より


 金から価値を引き出す能力は、年齢とともに低下していくのだ。

 譲り受けた財産から価値や喜びを引き出す能力は、年齢とともに低下する。金を楽しい経験にかえるあなたの能力が、老化とともに衰えていくのと同じだ。  

金を使いたいという意思はあるものの、年を重ねるごとにやりたいことが変わり、意欲も薄れていくことだ。

年を取ると人は金を使わなくなる。 

 かけがえのない機会が次第になくなっていく、という事実を意識しながら経験と金のトレードオフについて考える。

やはりどれだけ健康に気をつけていても、加齢には完全に抗えない。 


 だから、限りある人生においては「タイミング」が大事。お金を使う、つまり資産を取り崩すのは、健康で体力がある45歳くらいからということになります。

時間と金を最大限に活かすためのカギは“タイミング”にある。
重要なのは、「どの年齢で、どれくらい金を稼ぎ、どれくらい楽しい経験に金を費やすか」だ。

 まだ健康で体力があるうちに、金を使ったほうがいい

 そして、お金の使い方。
金ではなく、健康と時間を重視すること。それが人生の満足度を上げるコツなのである。
 大切なのは、自分が何をすれば幸せになるかを知り、その経験に惜しまず金を使うことだ。
 当然、それはヒトによって違う。
 誰かに金を与えるのなら、早いほうがいい。死ぬまで待つ必要はない。
親が財産を分け与えるのは、子どもが26~35歳のときが最善
富の最大化ではなく、人生の喜びを最大化するための方法を探すことだ。
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