腎臓を巡る、長く、曲がりくねった物語 その1 人体は水中国家
※フリーランスの編集者・ライターである『クラナリ』編集人(バリバリの文系)は、腎臓に関する記事や書籍に携わる機会が多いため、それに関連していろいろと考察しています。素人考えですが。
ずーっと腎臓について考えていたら、「なるほど、人体というものは水中国家なのだな」というイメージが湧きました。
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水の中に建物があり、生き物が暮らしている国家(イラストAC) |
安心してください、考え過ぎて、とうとう頭がおかしくなったわけではありません。
人間の体は、およそ60%が水で占められています(成人男性の場合)。細胞の中も外も水で満たされていて、呼吸も水を介して行われています。赤血球なども、ある意味、血漿という水に流されて移動しているのです。
そして、マンガ『はたらく細胞』で描かれたように、それぞれの細胞が元気に働いて、人体という水中国家を維持しています。
水中国家を外から見たら、こんな感じ。
水を閉じ込めるように膜で覆われていて、その真ん中にトンネルが開通しています。トンネルも、水がこぼれださないように、膜で覆われています。
このトンネルは、人体の消化管に相当します。
上のイラストでもわかるように、口から肛門まで、1本の管になっていますよね?
ちなみに、今井龍弥医師は、「消化管はちくわ」と説明していました。そして「人間は考えるちくわである」と言っていたような記憶があるし、自分の気のせいかもしれません。
ただ、『クラナリ』では、ちくわではなく水中国家で進めます。そうしなければ、腎臓にまでたどり着けない……
人体という水中国家を外から見たら、これ。
水の中に入ったら、これ。
人体の脳は、水中国家の王様。
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『キングダム』だと中央の嬴政(後の始皇帝) |
神経は、王様のホットライン。
消化管は、先にも述べたトンネル。口腔から始まり、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肛門と続きます。
肝臓は、化学工場であり倉庫。
心臓が、物流拠点、パイプライン(輸送路)のコンプレッサー。
動脈と静脈が、パイプライン(輸送路)。
そして腎臓は、下水処理場兼浄水施設であり、ゴミ処理場であり、リサイクルセンターであり、実は丞相でもあります。
丞相は王様を補佐して、国の運営に携わる立場の人です。「宰相」と呼ばれることもあります。 王様にもいろいろで、『キングダム』では悼襄王という困ったちゃんがいましたね。
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悼襄王(『キングダム』より) |
そんな王様の無茶な要求にも耐えて、なんとか国が運営できるように奔走するのが、丞相。
そんな丞相の役割を人体で果たすのは腎臓ですが、下水処理場・ゴミ処理場・リサイクルセンターも兼務しているのです。
はて?
ただ、生物の進化を追っていくと、兼務するのが非常に合理的だとわかるのです。その話は、また改めて。
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