腎臓を巡る、長く、曲がりくねった物語 その1 人体は水中国家(初出2024年6月4日、再構成2025年12月1日)

 ※フリーランスの編集者・ライターである『クラナリ』編集人(バリバリの文系)は、腎臓に関する記事や書籍に携わる機会が多いため、それに関連していろいろと考察しています。素人考えですが。


 ずーっと腎臓について考えていたら、「なるほど、人体というものは水中国家なのだな」というイメージが湧きました。
水の中に建物があり、生き物が暮らしている国家(イラストAC)



 安心してください、考え過ぎて、とうとう頭がおかしくなったわけではありません。

 人間の体は、およそ60%が水で占められています(成人男性の場合)。細胞の中も外も水で満たされていて、呼吸も水を介して行われています。赤血球なども、ある意味、血漿という水に流されて移動しているのです。

 そして、マンガ『はたらく細胞』で描かれたように、それぞれの細胞が元気に働いて、人体という水中国家を維持しています。


 水中国家を外から見たら、こんな感じ。


 水を閉じ込めるように膜で覆われていて、その真ん中にトンネルが開通しています。トンネルも、水がこぼれださないように、膜で覆われています。
 このトンネルは、人体の消化管に相当します。
 上のイラストでもわかるように、口から肛門まで、1本の管になっていますよね?
 ちなみに、今井龍弥医師は、「消化管はちくわ」と説明していました。そして「人間は考えるちくわである」と言っていたような記憶があります。あまりに古い出来事なので、思い違いかもしれませんが。





 話を「人体は水中国家」に戻すと、人体の脳は王様。
『キングダム』だと中央の嬴政(後の始皇帝)


 神経は、王様のホットライン。
 口腔から始まり、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肛門と続く消化管は、先にも述べたトンネル。
 肝臓は、化学工場であり倉庫。
 心臓が、物流拠点、パイプライン(輸送路)のコンプレッサー。
 動脈と静脈が、パイプライン(輸送路)。
 そして腎臓は、下水処理場兼浄水施設であり、ゴミ処理場であり、リサイクルセンターであり、実は丞相でもあります。
『キングダム』だと右上の昌平君

 丞相は王様を補佐して、国の運営に携わる立場の人です。「宰相」と呼ばれることもあります。

 王様もいろいろで、『キングダム』では悼襄王という困った人がいましたね。
悼襄王(『キングダム』より)

 そんな王様の無茶な要求にも耐えて、なんとか国が運営できるように奔走するのが、丞相。

 そんな丞相の役割を人体で果たすのは腎臓ですが、下水処理場・ゴミ処理場・リサイクルセンターも兼務しているのです。
 生物の進化を追っていくと、兼務するのが非常に合理的に見えるのですが、その話はまた改めて。


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著/森 真希
祥知出版

〈目次〉
はじめに 1

第1章 縁の下の力持ちとして働く腎臓 17
1-1 水のコントロールセンター兼リサイクルセンター兼ゴミ処理場 17
1-2 進化の歴史の中で発達してきた腎臓 30
1-3 人体の6割を占める水を調整 40
1-4 血液の浄化を担う糸球体 47

第2章 慢性腎臓病になるとどうなる? 65
2-1 患者の割合が増えている慢性腎臓病 66
2-2 タイプ・目的別「慢性腎臓病の本」ガイド 76
2-3 積極的に取り入れられている運動療法 98
2-5 水をこまめに飲んで血流維持 107

第3章 人生会議・共同意思決定という難関 118
3-1 慢性腎臓病と診断されたら考えたいこと 119
3-2 ライフステージで移ろう「自分らしさ」 127
3-3 かかりつけ医が必要なのだが 133
3-4 一人暮らしでも在宅医療が可能に 140
3-5 患者の意思決定を支援する人生会議、往々にして会議はモメる 146
3-6 医療者と患者が一緒に行う共有意思決定も、なかなかに厳しい 154
3-7 患者が人生のゴールを決めておく 159
3-8 恐怖という負の感情と人間の歴史 166

第4章 透析をするという選択 173
4-1 透析を始めると何が起こる? 174
4-2 透析療法と腎移植 188
4-3 死に至る傷病から命を守ってきた透析療法 207
4-4 血液透析での苦痛 226
4-5 透析療法でかかるお金と関係する制度 234

第5章 透析をしないという選択肢 240
5-1 「しない」という決定は取りやめられる 241
5-2 尿毒症と対症療法 251
5-3「自然の麻酔」とも呼ばれている尿毒症 259
5-4 欧米での保存的腎臓療法 265
5-5 精神的苦痛、社会的苦痛、スピリチュアルペインは医療で癒せるのか 271
5-6 「あの世」について語り合う 276

第6章 透析をやめるという選択肢 282
6-1 透析療法中止で訴訟に至った例 283
6-2 PDラストという選択肢 293
6-3 薬で苦痛を和らげる鎮痛と鎮静 298

第7章 治ろうとする力を引き出す補完代替療法 308
7-1 苦痛を和らげる、古くて新しいセルフケア 309
7-2 気功 314
7-3 冷え取り 340
7-4 リフレクソロジー 350
7-5 ボディワーク 359
7-6 心身医学的療法 379

おわりに 382
主な参考資料 389

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