腎臓を巡る、長く、曲がりくねった物語 その20 生命の源である水をどうやって保つのか(腎臓→関係各所のRAAS編) 

 水中国家の生命線は、水。水がなければ、呼吸をはじめ、物質のやり取りが一切できなくなるからです。
 水の流れを、浄水施設兼下水処理場兼諸々で観察しているのは、丞相です。

 浄水施設で取り込める水、そして下水処理場に送られてくる水の量を調べると、水中国家にどのくらい水が流れているのかがわかります。
 水が流れてこなければ、丞相は「あかん!」と判断して、各所に連絡します。

 水中国家の丞相が、人間の体では腎臓なのです。また、下水処理場に送られてくる水は、心臓が腎臓に送る血液に相当します。

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 腎臓に血液が十分に送り込まれず、糸球体というふるいに圧力がかけられなければ、ゴミ(老廃物)が体に残ってしまいます。ですから、ちゃんと血液が送り込まれているのかを感知する装置が、腎臓には備わっているのです。

 それが、傍糸球体装置。
 尿細管の終わりの地点である遠位尿細管は、糸球体を出入りする2本の動脈に挟まれて、ペタッとくっついています。このくっついているところに傍糸球体装置があります。


緑の丸で囲んだ部分に傍糸球体装置がある(看護roo!より一部改変)


 傍糸球体装置の一つの、密集斑(マクラデンサ)細胞が、尿細管の中を通る原尿の食塩(NaCl)濃度を調べます。その情報を、隣接するメザンギウム細胞から輸入細動脈平滑筋細胞や顆粒細胞に伝達します。
 さらに、糸球体に流入する血液の量を感知して、「量が少ないから、血圧が足りない」という場合には顆粒細胞からレニンという酵素が分泌されます。

体液量・血圧の調節を行う腎傍糸球体装置のNaClセンサーとそのシグナル分子の解明より


 レニンは血圧を上げる仕組みに大きく関係しています(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系、RAAS)。RAASについては、以下で紹介しています。


RAAS(Wikipedia Mikael Häggström より、一部改変)


 RAASで、末梢の血管が収縮して血圧が上がります。また、腎臓でのナトリウムの再吸収が進んで、血液中のナトリウムイオン(Na+)濃度が高くなります。そして、抗利尿ホルモン(ADH)のバゾプレッシン(AVP)が分泌されます。バゾプレッシンは、腎臓の集合管に働きかけて、水の再吸収を促進させて、体内の水分を維持するのです。
 この仕組みについては、以下で紹介しました。

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