副業詐欺のターゲットは新社会人や学生ばかりではない!? 中高年も要注意

 一般的な副業詐欺は、副業したい人を募る詐欺サイトで、応募してきた人に登録料やらコンサル料やらサポート料やら、やたらとお金を払わせ、肝心の副業の報酬は支払われないという内容のようです。


 副業サイトで「人生相談に乗ってくれれば報酬を得られる」と宣伝し、女性から現金約40万円をだまし取ったなどとして、警視庁犯罪収益対策課は11日までに、詐欺容疑などで、特殊詐欺グループのメンバーで職業不詳の鈴木一樹容疑者(48)=千葉県市川市真間=ら男女26人を逮捕した。いずれの認否も明らかにしていない。
 同課は同日までに、グループ拠点のビルなど1都4県の11カ所を捜索。同様の手口で、全国の約8600人から19億1000万円以上をだまし取った疑いがあるとみて、全容解明を急ぐ。


 副業詐欺サイトを運営していたのが、株式会社トーマ。神奈川県川崎市川崎区宮前町7番2号シェリールプレイス川崎501号に所在する、法人番号が2020001147522の法人です。代表取締役の加藤真詩容疑者も、今回逮捕されていました。
 株式会社トーマは、2022(令和4)年8月1日に法人番号が指定されていました。
 出会い系サイトも運営していたようですが、これも詐欺だという情報が、Yahoo!知恵袋などで多数引っかかりました。なんだかもう……

 副業詐欺サイトでは「月収50万円以上稼いでいる人続出」とうたっていましたが、実際に月額50万円を稼いでいたのは詐欺をする側の人間だったようです。
「月収50万円以上稼いでいる人続出」「スマホで簡単に稼げる」。埼玉県春日部市の女性(64)は昨年11月、こうアピールする広告をLINEで見つけた。当時は体調を崩し、夜勤の仕事を辞めたばかり。在宅での仕事を探していた。
 応募したのは、男性とメッセージをやりとりする「メールレディー」だった。

26人のうち、本間容疑者ら21人が相談者や副業サイトの運営側を装ってメッセージをやりとりする「打ち子」で、月50万円ほどの報酬を得ていたという。

同庁によると、このグループは「相談に乗るだけで報酬がもらえる」などとかたるサイトを運営。打ち子や、詐取した現金を引き出す「出し子」など役割を分担し、副業サイトの実態はなかった。

 報道された内容を図にまとめると、以下のとおりです。


 ATMから現金を引き出す役割が「出し子」というのはなんとなくわかるのですが、メッセージのやり取りをする人が「打ち子」と呼ばれているのが不思議。それで検索したところ、「打ち子」にはパチンコを打つ仕事という意味があり、「打ち子詐欺」というのも存在することがわかりました。
打ち子詐欺とは
打ち子詐欺とは、勝率の高い台を教える(情報を提供する)代わりに、儲けの一部を渡す、という条件で募集をかけるタイプの詐欺です。実際には、指定された台で打っても勝てないケースが大半で、登録料や情報料などの名目でお金だけ取られる、という形で被害が生じます。

打ち子詐欺については募集の手口が巧妙で、「初回無料」、「パチンコ店のサクラ募集」などという形で求人が行なわれています。パチンコ雑誌などに広告が掲載されていることもあるので、警戒心を抱かずにアルバイト感覚で応募してしまう方も多いようですね。

 なるほど、打ち子詐欺も、登録料や情報料といった名目でお金を取られる点は、副業詐欺と似ています。

 また副業詐欺には、最初だけは少額の報酬を受け取るパターンも存在するようです。多くの自治体で注意喚起されていました。

最初に「少額の報酬」を受け取ることができるため、相手を信用してしまい、高額な被害に遭っています!


 山形県のサイトには、わかりやすい図解が掲載されていました。



 副業詐欺の被害に遭わないのはもちろんですが、知らないうちに打ち子や出し子にされてしまわない注意も必要なようです。

 捜査関係者によると、逮捕された26人のうち21人は、相談者を装ってサイト上でメッセージを送る「打ち子」だった。いずれもSNSに掲載された「メールオペレーター」の募集広告を見て応募しており、1カ月に約50万円の報酬を受け取っていたという。警視庁は21人が通常のアルバイトと思って参加したとみて捜査している。

 打ち子らは東京都豊島区のビルのフロアに集められ、偽の相談者を装うように指示されていたという。警視庁は、他に事件を計画した人物がおり、打ち子、被害者の両方をSNSで集めたとみている。


 捜査関係者によると、打ち子を集める際は、SNSや求人誌に「メールオペレーター」や「電話オペレーター」を募集するとの広告を掲載。時給制であることなどもうたって、正規の仕事を装っていた。

 求人誌に「オペレーター募集」と書かれていたら、詐欺グループの一員として働くなんて想像できませんよね。

 事情もよくわからないまま詐欺グループの一員になってしまい、逮捕された女性のケースが紹介されていました。

特殊詐欺が大きな社会問題となっている。裏で糸をひく首謀者らが逮捕に至ることは稀である一方、末端の受け子たちの逮捕は珍しくない

一審、二審ともに有罪判決(詐欺罪)を下され、無罪を争って上告中の女性被告人(43)がいる。うつ病で働けず、借金返済のためにTwitterで「在宅ワーク」と検索した女性は、「つらい時はいつでも電話して」など自身の病気にも親身になって寄り添ってくれる電話の相手男性を信じ、特殊詐欺の受け子となってしまった。

 心が弱っている人に親身な態度を示して、つけ入る……悪質ですね。ただ、決して珍しい話ではありません。

 今回報道された副業詐欺のグループは、拠点が11カ所で、メンバーは少なくとも26人いたわけですから、なかなか大掛かりです。また、どんどん手の込んだものになってきているという印象もあります。

 とにかく「受け取ったものを渡すだけ」「お金をおろすだけ」といった「〇〇だけの仕事」はやめたほうがよさそうです。たとえ知り合いからの紹介だったとしても、です。
 
 警察庁のサイトには、多くの事例が紹介されていました

 また、副業詐欺に遭わないためには、「報酬を支払う前に、さまざまな名目で費用を請求してくる」場合はキャンセルすることがポイントになりそうです。少額の報酬にも要注意。

 当初、副業詐欺の被害者は若者たちかと思っていました。ただ、新聞で紹介されていたのは64歳女性と40代女性。
 考えてみれば、「相談に乗る」という仕事内容だと、人生経験がまだ浅い若者には難しいところがあります。それに、中高年だとへそくりもあるため、ターゲットとして最適だったのかもしれません。
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