「マーケティングとは、外の世界のニーズや欲求と、組織の目的、資源、目標とを一致させるための活動です」ドラッカーとコトラーとの対談 『非営利組織の経営』

  1990年にアメリカで刊行された“Managing the Nonprofit Oganization”(著/ピーター・ドラッカー)の翻訳書である『非営利組織の経営』

 まずは、収載されているドラッカーとコトラーとの対談から、印象的なコトラーの発言を抜き出しました。コトラーは1971年、つまり53年も前に『非営利組織のマーケティング戦略』を刊行しています。

 なお、コトラーについては、以下のウェブページに詳しく紹介されています。一読をお勧めしますが、ちょっと抜粋しました。コトラーの両親は、ウクライナからのユダヤ系移民です。

コトラーは貧困に対する問題意識があったため、労働サービスに対して正当な対価の支払われているのか、生活に見合うだけの賃金が支払われているのか、貧富の格差を解消するために労働組合の役割を検証したいと考えていた。「胸の奥底には常に両親が属していた労働者階級への思いがあり、貧富の格差が解消されないことに怒りすら覚えていた」[注3]という。

 ブラウンは、本来はより創造的でエキサイティングであるはずのマーケティングが、コトラーがマーケティング・ミックスの定量モデルや4P、STPなどの定石を打ち出したことで、マーケティングを創造性が欠如したサイエンスにしてしまったと批判した。コトラーはブラウンの論文に対して、創造性の欠如はマーケティング理論の問題ではなく、マーケターの問題であるとして、なぜ創造性が欠如してしまったのかを述べた反論を寄せた。 

 コトラーは、マーケティング4.0として、2つのポイントを挙げている。第一は、顧客が初期段階で共創に至る道(path)となる、AIDA(attention, interest, desire, action)の分析であり、第二は、密接に顧客同士が繋がっている環境下において、顧客が製品やサービスの価値を交換に至るプロセスを「カスタマー・ジャーニー」とし、マーケターがそこで、製品やサービスに対する認知(aware)、訴求(appeal)、調査(ask)、行動(act)、推奨(advocate)の5Aによって顧客をカスタマー・ジャーニーに導く役割を果たすことである(下図参照)。 


 マーケティングについては、製品中心の「マーケティング1.0」、顧客・消費者志向の「マーケティング2.0」、人間中心で価値主導の「マーケティング3.0」、5Aによって顧客をカスタマー・ジャーニーに導く経験価値志向の「マーケティング4.0」、さらにデジタル化に対応する「マーケティング5.0」にまで進んでいるようです。
『コトラーのマーケティング5.0 デジタル・テクノロジー時代の革新戦略』

 時代とともに変化するマーケティングは、世代による価値観の変化ともリンクしているように思えなくもありません。



 『非営利組織の経営』に掲載された対談が行われたのは、顧客・消費者志向の「マーケティング2.0」の頃だったと推測できます。ただ、内容は決して古びていません。現代でも「あちゃー」という失敗が指摘されていました。


(非営利組織の人たちが、マーケティングと販売を混同していることを踏まえて)
マーケティングで重要なことは、マーケットリサーチセグメンテーション(マーケット区分)、ターゲティングポジショニング(自らの位置づけ)、仕事の設計の五つです。宣伝や販売はそのあとのことです。もちろん、宣伝や販売は必要です。しかしだいぶ前にあなた(ドラッカー)がみなを驚かせたように、マーケティングの目的は販売を不要にすることです。
 2024年の今でも、宣伝や販売ばかりに目が行ってしまいがちだと思いますが、いかがでしょうか。
マーケティングについての短い定義は、「ニーズを満足させること」というものです。「価値を加えて」と入れればもっとよいと思います。
 顧客や消費者からスタートすればマーケティングです。製品やサービスからスタートすれば販売です。
ニーズといってもいろいろです。問題は顧客志向かどうかでしょう。
 煽り文句で働きかけることばかりに注力して、反応を得ることがおろそかになっているかなと。
マーケティングで重要なことは、働きかけた相手から反応を得ることです。

マーケティングには、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの三つの大きなステップ、STPがあります。
 ポジショニングとは、マーケットに対し自分たちの非営利組織をどう位置づけるかです。どう差別化するかです。(中略)優位性は、自らの強みを伸ばし、それを狙っているマーケットにぶつけることによって得られます。

専門店というよりも、ニッチマーケットですね。
「スモール・イズ・ビューティフル」ですね。

 ドラッカーは「マーケットが組織やサービスの性格を決めていくのです」と述べていました。ここも逆に考えがち。

マーケティングとは人との共鳴関係をつくることです。
マーケティングでは、第一に、マーケットを知るためにマーケットリサーチをしなければならない。第二に、マーケットを分類し、ターゲットを定めなければならない。第三に、それらのターゲットに合わせた方針、方法、プログラムをつくらなければならない。そして第四に、それらのプログラムをターゲットに知らせなければならない。
 病院だけでなく、あまりに多くの非営利組織が最初の三つを省いて四つ目の広告に入っています。順序が逆になってしまったのです。

 ドラッカーは「顧客にとって大事だと思うことについていう前に、顧客にとって本当に大事なことかを考えなさいということですね」と、コトラーが提唱しているマーケティングの基本を述べていました。

マーケティングとは、外の世界のニーズや欲求と、組織の目的、資源、目標とを一致させるための活動です。
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