ミネラル・ 電解質・ イオン問題
厚生労働省のページでは、ミネラルを次のように説明していました。
生体を構成する主要な4元素(酸素、炭素、水素、窒素)以外のものの総称で、無機質ともいいます。ミネラルは体内で合成できないため食物として摂る必要があります。不足した場合は欠乏症やさまざまな不調が発生しますが、摂りすぎた場合にも過剰症や中毒を起こすものがあります。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンを多量ミネラル、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンを微量ミネラルとして、基準を設定しています。
まとめると、次のとおりになります。
ミネラル=無機質(酸素、炭素、水素、窒素を含まない物質)
多量ミネラル:ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン
微量ミネラル:鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン
なお、イオウ・塩素は多量ミネラルに含まれるようですが、「日本人の食事摂取基準」(厚生労働省)で摂取基準の数値が記載されていません。多量ミネラルのうち、イオウはアミノ酸の成分中、リンはリン酸かリン酸塩として核酸(DNA、RNA)の中などに存在しています。
そしてイオンと電解質は、どちらも水に溶けると電気を通す物質を指しています。「イオン(電解質)」または「電解質(イオン)」などと表記してきたわけですが、どうやら厳密には違うようなのです。
人間の血液、リンパ液などに含まれ、浸透圧など生理作用上重要な役割を果たしているナトリウムイオンNa+、カリウムイオンK+、塩化物イオンCl-、炭酸水素イオンHCO3- などは、医学、生理学分野の専門用語で「電解質」と呼ばれています(この電解質という用語は、物理・化学の分野ではもう少し広く、端的に言えば種々のイオン類すべてとの概念で捉えられている)。
まずは、英語で比較しました。イオンはion、電解質はelectrolyteで、ロングマン英英辞典で調べると次のとおりです。
i‧on /ˈaɪən $ ˈaɪən, ˈaɪɑːn/ noun [countable] technicalan atom which has been given a positive or negative force by adding or taking away an electron → proton
e‧lec‧tro‧lyte /ɪˈlektrəlaɪt/ noun [countable] technical
a liquid that allows electricity to pass through it
a liquidとaがつくことで、「溶液」を意味していると考えられます。
イオンについては「原子」、電解質については「電気を通す溶液」ということでしょうか?
逆にわかりにくくなりました……
それで、語源を探ることにしました。使用したのは天才英単語というサイトです。
ionの語源は、ギリシャ語の「ἰόν」(ion)に由来します。これは、「行く」を意味する「ἰέναι」(iene)から派生した語で、電気的に荷電した粒子が分子間を移動する様子を表しています。
「electrolyte」の語源は、「電気を通す液体」という意味を持つラテン語の「electrum」と、「溶かす」という意味を持つギリシャ語の「lyein」から派生したものです。つまり、電気を通す液体という意味を含んでいます。電解質とも訳されます。
なるほど! 電解質の語源が「電気を通す液体」だから、ロングマン英英辞典の説明もそうなっていたのですね。
イオンも電解質も、イギリスの化学者・物理学者であるマイケル・ファラデー(Michael Faraday、1791-1867年) 発見をもとにした造語とのこと。
医学系のサイトには、電解質については次の説明がありました。
一部のミネラル、特に多量ミネラル(体内で比較的大量に必要とされるミネラル)は電解質として重要な役割を果たします。電解質は、血液などの液体に溶け込むと電荷を帯びるミネラルです。血液中の電解質(ナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸)は、神経や筋肉の機能の調整、酸塩基平衡および水分バランスの維持を助けます。
厚生労働省の説明と混ぜて考えれば、ミネラル=無機質の一部は、液体に溶けると電子が過剰になったり失われたりして、電気を帯びます。それらすべてが電解質。
例えば食塩(NaCl)の場合、水に溶かすと水分子がわらわらとやってきてナトリウムと塩素を取り囲んで、引き離してしまいます(分散)。そしてナトリウムは電子を 1 個失い、+の電気を帯びたナトリウムイオン(Na+)という陽イオンになります。塩素だと電子を1個受け取って陽子の数より電子が多くなるので、-の電気を帯びた塩化物イオン(Cl-)という陰イオンになります。中学校の理科で習いましたね。懐かしい……
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| 食塩水は電気を通すかなより |
これはつまり、「食塩の成分であるナトリウムと塩素という2つのミネラルは、水に溶けると電気を帯びる電解質です。食塩を水に溶かすと、ナトリウムイオンと塩化物イオンになります」という説明になるのです。そのため、「イオン(電解質)」または「電解質(イオン)」という表記は、今後は控えようと思った次第です。個人的に、ですが。
□追記
中学3年の理科では、電解質と非電解質を次のように説明していました。
電解質
物質の中には、そのままだと電気が流れず、水に溶かすと電気が流れる物質があります。このような物質を電解質といいます。
物質が水に溶けて、陽イオンと陰イオンに分かれることを、電離といいます。
電解質には塩化ナトリウムや塩化水素、塩化銅、アンモニア、水酸化ナトリウムなどがあります。
非電解質
水に溶かしても電流が流れない物質が、非電解質です。非電解質は水に溶けると電離せずに、分子のまま水中に散らばります。
非電解質には、エタノールや砂糖などがあります。
なお、そもそも水に溶けない物質(酸化銅や酸化鉄など)は、電解質とも非電解質ともいいません。
■参考資料
Wikipedia
ミネラルの食事摂取基準と最新情報
Michael Faradayによる電気化学用語の命名
※フリーランスの編集者・ライターである『クラナリ』編集人(バリバリの文系)は、腎臓に関する記事や書籍に携わる機会が多いため、それに関連していろいろと考察しています。素人考えですが。

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