「馬車」が語源のコーチングには、どんな特徴があるのだろうか?  その3 「ビジネスにおけるコーチングの役割」

 「ビジネスにおけるコーチングの役割 ―類似手法との比較によるコーチングの明確化―」では、コーチングをメンタリング、カウンセリング、コンサルティングと比較することで、「コーチングとは何か」が明確になっています。掲載されている表が非常にわかりやすいので、興味のある人はぜひ見てほしいと思います。

□ビジネスにおけるコーチングの役割 ―類似手法との比較によるコーチングの明確化―

 コーチングのキーワードは「傾聴・価値観・協業」で、特徴として以下の5つが紹介されていました。
・コーチとクライアントは対等な立場で、セッションを共に創る
(コーチは指導者や専門家ではなく伴走者)
・過去の時制を扱わず、セッションの瞬間に起こっている変化を重視する
(原因を突き止めるのではなくありのままを直視する)
・事実の追究ではなく、クライアントが感じていることを問いかける
(クライアントの価値観を中心にセッションを行う)
・コーチは評価や指摘ではなく認知、判断ではなく反映・比喩によって応える
(善悪や正誤を判定するのではなく、受け容れて選択することを促す)
・コーチは決して答えを言わない
(答えは全てクライアントの中にあり、必ず目標を達成できると信じている)
(Kimsey Houseetal.2011)
コーチは伴走者


 「答えはすべて相手(クライアント)の中にある」というのが、コーチングの大前提です。ですから、「今、〇〇ならば、どうなると思う?」というように、未来に視点を向ける質問を重ねることが求められます。未来に視点を向ける質問には、相手の目標や目指す人がいるのかどうか、目指す人がいたら「その人は何をやったと思う?」「何を大切にしていると思う?」という問いかけも含まれます。
 そして、話の途中で口を挟みません。相手がしゃべり終わるまで、ひたすら聞く姿勢を取るのです。

 問いかけの際に注意したいのは、「なんで?」「どうして?」といったワードを避けること。こうしたワードを使うのは、質問の形式を取った叱責のことが多いからです。「どうしてできない?」と言う際には、できないことを責めているのです。
 同様に、質問形式の催促や否定・批判もあります。「こんなことをして、何になるのですか?」「考えて話していますか?」は、「やっても意味がない」「考えていない」という否定・批判で、相手の立場を無視した決めつけです。
 問いかけは、質問。詰問や叱責、催促、否定になっていないのか、確認が必要です。

 「こうしたほうがよい」というアドバイスをしたいときには、相手の話を聞いた上で、最初に「こちらから提案してもいい?」と許可を取ってから行うといいでしょう。その後で「どう思う?」と気持ちを聞きます。こうすることで、双方向のコミュニケーションが成立するからです。

 日本におけるコーチングの問題点として、以下の3つが挙げられていました。
①コーチングの定義が曖昧であり、他の手法と明確に区別する基準が存在しない。
②様々なコーチ養成機関が乱立しており、コーチの資質・能力にばらつきがある。
③独創性を歓迎する欧米と異なり、正解を教えてもらうという教育で育った日本人には自分で答えを出すコーチングに馴染みにくい。

 「正解を教えてもらうという教育」については、文部科学省でも問題視していて、現在では「正解を作る・見つけ出す教育」へと転換しています。

□参考資料
大阪市 教育コーチングの基本
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