不機嫌な人は幼稚に見える 『感情的にならない本』
和田秀樹医師の著書『感情的にならない本』 (新講社ワイド新書)は、40万部を超えるベストセラーで、初版は2013年とのことです。ベストセラーを出し続ける和田医師はすごいなと、つくづく思います。
この本のキャッチが「不機嫌な人は幼稚に見える」。
不機嫌な人は子どもじみていて、周囲に甘えているのでみっともないという意味です。ドキッとしますね。
和田医師は、次のように述べています。
わたしの最大の「感情的にならない」技術は、感情的になりそうなシチュエーションを予知して避けるということです。
いわゆる「すぐ感情的になる人」というのは、それができないのです。無防備に「敵」と出会い、思わず感情的に反応してしまいます。それどころか自分が感情的になっていることも気づいていないようです。
人間関係は「感情関係」の面があります。
感情的にならない人は、上手に感情的になれる人でもあるのです。
いい大人なんだから、「自分はどんなシチュエーションで感情的になるのか」を知っておきなさい、ちゃんと学習しなさい、同じ失敗を繰り返さないようにしなさい……
そんな話です。
ただ、自分自身が「感情的になっちゃう自分」「感情的になるシチュエーション」を作り出している可能性もあります。
和田医師は、次の特徴を挙げています。
感情的になる人の考え方・受け止め方の特徴
〇シミュレーションばかりして行動を起こさない
〇怒りや悲しみ、悪意などの感情をしつこく分析して、原因・理由を見つけ出そうとする
〇考えても答えが出ないことを、もっと考え続ける
〇他人の言った言葉を深読みし過ぎる
〇感情的になった自分を責める
〇「~になるはずだ」「~でなければならない」「~すべきだ」「絶対に~」という思い込みが強過ぎる、批判も異論もすべて悪意と受け止める
〇「是か非か」「白か黒か」「敵か味方か」の両極端に偏る
〇自分の優位性にこだわる(相手より自分が上、自分が正しいという気持ちを抱いている)
「頭でっかち」で「両極端」な人は、感情的になりやすく、幼稚に見えるということですね。納得です。
対処法は、次のとおりです。
感情的になることを回避する方法
〇自分の「曖昧さ耐性」(清濁併せ呑む、ほどほど、これぐらいで十分・合格、グレーゾーンを認める)を、その都度チェックする
〇結果を「成功確率は〇%、失敗確率は〇%」と両方のパーセンテージで想定する(片方だけで考えない)
〇ピンチのときに「ではどうするか」を考える
〇「こういうこともある」と受け止める
〇パニックになりそうなときは「いまはともかく」と考える
〇大人らしい素敵な人を思い浮かべ、「〇〇さんならどうするかな」と考える
〇自分の気持ちと向き合わない
〇自分や周りの人の行動パターンに注目する
〇細かいプラン・きっちりしたシナリオは描き過ぎない(プラン変更は「それもそうね」と受け止める)
〇放っておけば、感情はそのうち収まる(時間に解決させる)
〇現実の形ある、やるべき自分の仕事をきちんと片付ける(部屋を片付ける、髪形を整える、栄養のある食べ物を取るなど)
〇相手に対し、いったんすっと引き下がる
〇話にならない人は、放っておく(仕方がないと割り切る)→周りが「話にならない人ばかりだ」と感じるときは、「自分に問題があるかも」と考える
〇淡々と事務的に対応する(カゼと同様に感情はうつるので、悪感情を自分にうつしたり相手にうつしたりしない)
「この人と話すと、いつもキレてしまう」「嫌な気分になって、落ち込んでしまう」とわかっているのなら、そんな人とはできるだけ接触せず、最低限、挨拶と事務的な対応のみにとどめればよさそうです。
また、「あそこへ行くと悶々として、悲しい思いをいつもするけど、仕事だから仕方がない」とわかっているのなら、そんな場所の状況を細かくチェックして、「悶々」「悲しい思い」をする部分だけの回避を試みるという選択肢もあります。
このように「感情的になりそうなシチュエーションを予知」することに努めるのが、感情的にならない第一歩といえそうです。
なお、「不機嫌な人は幼稚に見える」という言葉で、『鬼滅の刃』で鬼舞辻無惨が最終形態の赤ちゃんになってギャーと泣き喚くシーンを連想しました。まあ、みっともない。周りに迷惑なだけという話です。感情的、特に不機嫌になりそうなときは、このシーンを思い出すのも抑止力になると思われます。
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『鬼滅の刃』 |
『感情的にならない本』目次
プロローグ 感情の「シンプルな法則」感情コントロールには基本的な技術がある第1章 人には「感情的になるパターン」がある第2章 「感情コンディション」を整える第3章 「曖昧さに耐える」思考法第4章 「パニックに陥らない」技術第5章 「いつでも気軽に動く」技術第6章 「小さなことでクヨクヨしない」技術エピローグ あなたが笑うとホッとする人がいる
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