マーケティング5.0を、素人がざっくりと読んでみた1 人生のステージと世代

 経営や経済、マーケティングについては完全なる素人ですが、『コトラーのマーケティング5.0 デジタル・テクノロジー時代の革新戦略』を読んでみました。
 なお、マーケティング1.0以前から現代までは、過去にまとめていました。

■マーケティング1.0以前から現代まで素人がざっくりと追ってみた

『コトラーのマーケティング5.0 デジタル・テクノロジー時代の革新戦略』


 本書では、現在、次の3つの課題が生じていると指摘しています。

マーケティング5.0の3つの課題

世代間ギャップ
富の二極化
デジタル・ディバイド(情報通信技術を利用できる人々と利用できない人々の間に発生する情報格差)

 医学が進歩し、私たちの寿命が延びました。結果として、今の世の中には、100歳を超える高齢者から生まれたての赤ちゃんまで、幅広い世代が存在しています。この状況を踏まえて、マーケティングを検討することが第一歩のようです。

 同時に、情報技術が進歩し、私たちが生まれてから死ぬまでのライフステージで経験することが、世代によって大きく異なっています。物心ついたときからスマホをいじっている世代と、中年過ぎてからスマホを持つようになった世代では、アプリなどの知識、そしてスマホへの依存度は大きく異なるわけです。

 さらに、日本では「富める高齢者、困窮する若者」という経済格差が生じていると報じられています。少子高齢化が進んで、高齢者に払われる年金や医療費などの社会保障で、若者への負担が増大し続けています。
 
 そもそも、資本主義では、お金を持つ資本家は工場や設備を所有して利益を得られるのに対し、労働者は搾取されるので貧富の差が拡大するといわれてきました。それを是正するために、所得再分配が行われています。
 ただ、現在では富裕層と貧困層の間に位置する中間層が消えていると指摘されています。原因の一つとして、技術革新で中間層の一部で仕事が失われていることが挙げられています。

 総務省統計局の2023年のデータでは、2人以上の世帯で貯蓄額が200万円未満の割合が最も多くなっています。にもかかわらず、平均では1904万円です。少数の富裕層が、平均値を押し上げていることがわかります。
総務省統計局サイトより

 少数の富裕層と多数の貧困層という二極化が進めば、新しい成長市場が見つけにくくなり、経済が停滞すると本書では指摘されているように思います。

二極化は、とくに経済が鈍化し、プレーヤーが急増している中で、成長の機会を限定してしまう。

 以上のようなマーケティング5.0の課題の中で、今回は世代間ギャップを検討しました。世代の捉え方について、アメリカと日本とでは異なるので、日本の場合で考えたいと思います。

 まず、すべての世代に共通するライフステージをまとめてみました。本書では20年ごとにステージが移っていくが、若い世代になるほど結婚や出産などが遅くなるなどの世代で違いがあることも指摘されていました。

人生の4つのステージ

基礎 0~20歳 学ぶ、アイデンティティを見つける
第一線 20~40歳 キャリアを築く、自立する
育成 40~60歳 社会に恩返しする
最終 60歳以降 健康の衰えと社会関係の減少に対処する、知恵を分け与える



 世代については、日本のメディアでよく目にする分け方をまとめました。

日本における世代区分

焼け跡世代(1935~46年〈昭和10~21年〉生まれ)
 戦後の焼け跡を経験した世代。

団塊世代(1947~49年〈昭和22~24年〉生まれ)
 戦後の第一次ベビーブーム期に生まれた世代で、この3年の間に800万人もの子が生まれています。学生時代は激しい競争を経験しています。高度経済成長期の1970年前後に社会人になり、その親の世代はまだ貧しかったために、自分で生計を立てる必要がありました。会社への帰属意識が強い傾向があります。

○特徴
声が大きい
押しが強い
上下関係など礼儀に厳しい

○口ぐせ
がんばれば報われる


しらけ世代(1950年代〈昭和25~30年〉前半生まれ)
 学生運動が下火になった時期に成人を迎え、政治的無関心が広まりました。何に対しても冷めていて、まるで傍観者のように振る舞う傾向があります。

○特徴
個人主義
内向的

○口ぐせ
自分は関係ない


新人類(1950年代後半~64年〈昭和30~39年〉生まれ)
 「ジャパン・アズ・ナンバーワン」といわれ、日本企業の国際的な地位が高まり、ビジネス環境が成熟してきた時代。マンガやアニメ、テクノポップなどを好み、インベーダーゲームが大流行。元祖サブカル世代とされ、一風変わった若者たちという意味で新人類と呼ばれました。

○特徴
適応力が高い
スマートさを求める
段取り重視

○口ぐせ
おもしろい!
それいい!


バブル世代(1965~69年〈昭和39~44年〉生まれ)
 プラザ合意後、大量の資金が国内に流入し、企業が不動産や事業開発に資金を注ぎ込んで「バブル景気」が起こりました。この好景気の時期に社会人になった「バブル世代」は、企業が規模拡大を目指して大量採用を行い、大卒の5割以上が一部上場企業に入ったそうです。ぜいたくを経験しています。

○特徴
プラス思考
派手好き
浮わついている
働く目的が食べていくためや家族のためではなく、仕事そのもの

○口ぐせ
いけるいける


ロスジェネ(ロストジェネレーション)世代(団塊ジュニア、氷河期世代)(1970~84年〈昭和45~59年〉生まれ) 

※第2次ベビーブーマー(1970~74生まれ)とポスト団塊ジュニア(1975~84年生まれ)に分けることもある
 人口が多く、厳しい受験戦争をくぐり抜け、ようやく大学に入ったぐらいでバブルがはじけ、経済が長い後退局面に入ります。その10年間に就職活動を行い、働く前に企業の倒産やリストラを目の当たりにしています。そのため、専門的な知識やスキルなどを身に着けることにとても前向きで、仕事に一生懸命になりやすい傾向があり、上からの指示にも忠実です。

○特徴
危機感が強い
悲観的
被害者感情が強い
女性の社会進出が増えた→共働きの増加

○口ぐせ
キャリアアップ

ゆとり世代(さとり世代)(1987~2004〈昭和62~平成16年〉年生まれ)
 親が新人類世代。2002年から10年に施行された学習指導要領に沿った教育、いわゆる「ゆとり教育」を受けた世代。授業時間数の減少が学力低下を招いたとされています。仕事もプライベートも大事だと考える傾向があります。

○特徴
指示待ち
リスク回避志向
内なる自分に忠実→マイペース
自分自身が充実することを重視
SNSなどを使いこなし、横のつながりが強い
上昇志向が薄い
結婚に興味がない

○口ぐせ
ワークライフバランス

Z世代(1997~2009年〈平成9~21年〉生まれ)
 Z世代とは、アメリカの世代区分のため、ゆとり世代(さとり世代)と一部重なっています。最大の特徴は、デジタルネイティブ、つまり生まれたときからスマホなどデジタル機器が生活の中に存在し、インターネットの利用が主流になっていたことです。

 インターネットで効率よく情報を集め、世の中の規範に合わせて要領よく立ち回ろうとする傾向がZ世代にはあります。日本人全般として、保守的でリスク回避的な傾向があり、Z世代もそれを受け継いでいるという見方もできます。
 また、Z世代は権威に弱いといわれることもあります。「長いものに巻かれろ」という合理的な感覚が強く、自らベンチャー企業を立ち上げるような若い人もいますが、全体で見ればごく少数でしょう。多くは大手志向・安定志向といわれています。

 社会経験の豊富な上の世代が、Z世代に対して「パワハラにならないか……」「注意すると会社を辞めてしまって、自分の責任になったらどうしよう……」などと、彼らとのコミュニケーションに自信を持てなくなっています。スキルも能力もある上司がビクビクして、部下の顔色を伺っているという、組織としていびつな状況も現れています。
 ある意味、現時点でのZ世代はまっさらで社会経験も乏しく、適応力があるので、「この業界はこういうやり方だから」などと言われれば、わりと素直に受け入れる傾向があります。そのため、上の年代は、自信を持って彼らに接することが重要かもしれません。

 また、若いという点では不安や悩みを抱く多感な時期なので、負担や負荷をかけない配慮を行うより「大丈夫」「失敗したとしても意外となんとかなるんだよ」と支えることが、上の世代には求められています。失敗させないのではなく、失敗を許容しフォローするということです。

○特徴
タイパ(タイムパフォーマンス)重視の効率主義
強い仲間志向
プライベート重視
多様性を重視
エモ消費
ブランド志向が曖昧(センスがいいと思われたい、みんなと一緒だとちょっと恥ずかしい)
所有欲が希薄
大人になってからの親との同居に抵抗感は低い
性別による役割分担が曖昧(夫婦共同で仕事も家事も子育てを行う)
メインカルチャーとサブカルチャーの境界が曖昧
ネットの発達で東京と地方の差が縮まった

アルファ世代(2010~2025年〈平成10~令和7年〉生まれ)
 幼い頃からモバイル機器でコンテンツを積極的に消費しているのが、この世代。スマホなどは生活に不可欠であるだけでなく、自分自身の延長として捉えています。


■参考資料
第511回:『ロスジェネのすべて 格差、貧困、「戦争論」』出版!! の巻(雨宮処凛)
https://maga9.jp/200212-1/

【第41回】Z世代とテーマパーク化した大学(東京大学講師 舟津昌平氏)

米国における中間層の消失:教育水準や世代における格差拡大の観点
https://www.rieti.go.jp/jp/columns/a01_0605.html

衰退する日本の中間層(4) 背景にある仕事の二極化
Powered by Blogger.