マーケティング5.0を、素人がざっくりと読んでみた3 富の二極化で、実はみんな貧しくなっている

 野村総合研究所が、日本の富裕層・超富裕層に関する推計を行っています。
預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から負債を差し引いた「純金融資産保有額」を基に、総世帯を5つの階層に分類し、各々の世帯数と資産保有額を推計しました。
野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計

 この推計によると、2023年の階層別世帯数の割合は次のとおりでした。

超富裕層(5億円以上) 0.21%
富裕層(1億~5億円) 2.76%
準富裕層(5000万~1億円) 7.25%
アッパーマス層(3000万~5000万円) 10.35%
マス層(3000万円未満) 79.43%
野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計より作成


 「富裕層」と名の付く階層が全体の10.22%で、かなりの少数派ということがわかります。

 そんな富裕層がどんな生活を送っているのかというと、どうやら、意外と地味で質素なのだそうです。

 以上のことを、素人が単純化すれば、「富が二極化すると、経済は回らなくなるよね」ということになります。
 お金をたくさん持っていても、質素な生活をしている人がいます。ぜいたくをしている人(「消費主義者」)でも、私たちの10倍20倍もの量の食事や服などはいらないわけです。1人当たりの消費には、限界があるということです。
 なにより富裕層は、そもそも少数しか存在していないのです。

 一方、お金がなければ、好むと好まざると、質素な生活を送らざるを得ません。食事や服も、必要な分すら変えないことだって生じるでしょう。
 そういった倹約・節約に励まなければならない人が、多数派です。

 そう考えると、お金が一部の人に偏るのではなく、そこそこにお金を持っている人がたくさん社会にいるほうが、経済は活性化しそうです。

 『コトラーのマーケティング5.0 デジタル・テクノロジー時代の革新戦略』では、二極化した社会の例として、次を挙げていました。

二極化した社会

〇雇用の二極化
〇思想の二極化
〇ライフスタイルの二極化
〇市場の二極化

 そして二極化が経済に与える悪影響として、市場と成長の機会が限定されてしまうことが挙げられていました。

 あらゆるものが二極しているとき、ブランドや企業のポジショニングを決める意味のある方法は〈包摂性とサステナビリティという〉二つしかない。二極化は企業が活動できる市場を限定する。だが、もっとも重要な点として、二極化は、とくに経済が鈍化し、プレーヤーが急増している中で、成長の機会を限定してしまう。


 包摂性(インクルージョン)とは、さまざまなものをすべて包み込むという意味です。inclusionの語源は、ラテン語のinclusioで、「in-(中に)」と「claudere(閉じる)」から成り立っています。
 また、持続性(サステナビリティ)はsustainの名詞形です。sustainの語源は、ラテン語のsustinereで、「sub-(下に)」と「tenere(持つ、守る)」から成り立っています。

 これまで二極化については、「不平等だ!」という社会問題として取り上げられてきました。しかし、マーケティング5.0では、経済的な悪影響を指摘しています。
 たとえ富裕層で、旅行に買い物にパーティにとぜいたくな生活を送っている人でも、経済全体を俯瞰して見ると、二極化が進む中では、じわじわと貧しくなっていっているのかもしれません。


■主な参考資料
野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計
~前回推計(2021年)に比べ、世帯数は約11%、資産総額は約29%増加。「いつの間にか富裕層」など新たなトレンドも発生~

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