6-3 薬で苦痛を和らげる鎮痛と鎮静
6-3 薬で苦痛を和らげる鎮痛と鎮静
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| 中央社会保険医療協議会 総会(第624回) 議事次第より |
多くの場合、患者さんは死に近づくと、苦痛が強くなったり、さまざまな症状が起こります。これまで生きてきた中で最も苦しい時間かもしれません。
そんな苦痛を取り除く方法が鎮静で、鎮静薬を使って患者さんの意識を低下させて、うとうとと半分眠っているような状態にします。痛みなど体の症状を和らげるための鎮痛薬を十分に使っても、患者さんの苦痛が取れない場合に、鎮静薬の投与が検討されます。鎮静薬には、多くの種類があります。
○鎮痛
フェンタニル、ペンタゾシン、ブプレノルフィン
○鎮静
ミダゾラム、プロポフォール、デクスメデトミジン、バルビツレート
○鎮静および鎮痛
ケタミン
腎臓は、老廃物だけでなく、多くの薬の成分も体の外に排出しています。腎臓の機能が落ちると、薬の成分が体に残りやすくなるため、慢性腎臓病の場合には薬の使用には注意が必要となります。
鎮静と安楽死は混同されやすいようですが、安楽死は大量の鎮静薬で患者さんの意識が低下したときに筋弛緩剤などが投与されて死がもたらされます。ですから、患者さんの苦痛を取り除いて生活の質を上げる鎮静とは、目的が大きく異なります。
また、鎮静で寿命が短くなることはありません。
鎮静薬が少量であれば、意識が低下することもありません。呼吸困難については、意識の低下なしで和らげることがわかっています。
日本緩和医療学会の「鎮静に関する基本的な考え方の手引き」では、鎮静を導入するきっかけとして、以下が挙げられています。
せん妄(大声を出す、興奮して怒りだす、幻覚が見える、暴れるといった症状) 54%
呼吸困難 30%
精神的苦痛 19%
疼痛 17%
嘔吐 5%
鎮静については、「いよいよ死ぬときがやってきた」ぐらいのタイミングでしか、患者さんや家族には知らされていないのではないでしょうか。西智弘医師は『それでも、安楽死の話をするのなら』(晶文社)で、次のように書いていました。
日本においては「治療可能な状態が残っている以上は終末期ではない」といった意識が根強く、誰が見ても明らかに終末期、と思われる事態以外に緩和ケアが適応されない(適応しようという意識がない)といった問題があります。
鎮静には、長さによって次の2つに分けられます。
○間欠的鎮静
夜間などの一定期間、鎮痛薬で意識を低下させてから鎮静薬を中止し、意識のある時間を設けます。
PCAポンプという鎮静の専用機器があります。PCAとは、自己調節鎮痛法(Patient Controlled Analgesia)で、患者さんが痛みのあるときに患者さん自身がPCAポンプを操作して、安全で効果的な量の鎮痛剤をすぐに投与できます。
○持続的鎮静
鎮痛薬を中止する時期を決めずに、鎮静薬を持続的に投与します。
そして、深さによって次の2つに分けられます。
○調節型鎮静
苦痛の強さに応じて鎮静薬を調節し、持続的に投与します。呼びかけられると反応できる程度が浅い鎮静で、呼びかけられても反応しないのが深い鎮静です。
○持続的深い鎮静
深い鎮静状態が保たれるので、患者さんは家族などとは会話ができなくなります。加えて、深い鎮静状態のままで、死亡することもあります。そのため、家族が望むのが患者との会話なのか、苦しみのない静かな眠りなのかを確認することが重要です。
■主な参考資料
わが国における非がん疾患に対する緩和ケアの現状:日本緩和医療学会代議員を対象とした実態調査
末期腎不全患者の終末期症状の実践的緩和ケア


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