3-4 一人暮らしでも在宅医療が可能に

 3-4 一人暮らしでも在宅医療が可能に

 2023(令和5)年に厚生労働省が発表した「人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査報告書」によると、「あなたが病気で治る見込みがなく、およそ 1 年以内に徐々にあるいは急に死に至ると考えたとき。最期をどこで迎えたいですか」というアンケートでは「自宅」と回答した人が最も多く、一般の人では 43.8%、医師は56.4%、看護師は57.4%、介護支援専門員については58.1%でした。この結果から、「自宅で在宅医療を受けたい」という希望が多いことがうかがえます。

 年老いた親と離れて暮らしている子どもが多くなってきた近年では、高齢者の一人暮らしや夫婦だけの世帯でも、在宅医療を可能になってきました。最初に相談するのは、かかりつけ医や、市町村の地域包括支援センターです。

 金銭管理については、子どものいない一人暮らしの場合、甥や姪などに依頼するという選択肢があります。
 金銭管理を依頼できる・依頼したい親族がいない場合には、成年後見制度を利用することになります。成年後見の申立から法定後見の開始までは、2~3カ月程度かかるので、早めに市町村の社会福祉協議会に相談するといいでしょう。

 
 看取りが想定される患者さんが入院していない場合、つまり通院や在宅医療で患者さんが亡くなった際に、家族が警察の介入を避けたいのであれば、かかりつけ医がいることが重要です。かかりつけ医が死亡の確認と死亡診断書の作成を行うことで、警察の介入(検死)を避けることができます。
 また、「看取りの24時間ルール」と呼ばれるものがあり、生前最後の診断から24時間以内の死亡であれば、患者さんの死亡後に直接診察を行わなくても医師は死亡診断書が書けます。素人判断でも、明らかに患者さんが死亡している場合には、救急車ではなくかかりつけ医に連絡します(医師法19条2項)。

 厚生労働省のサイトには「死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」がアップされています。 要約すると、次のとおりです。
○「生前に診療していた傷病に関連する死亡である」と認められる場合には、かかりつけ医は死亡診断書を作成できる(医師法20条本文)
○死亡後24時間以上が経過していても、かかりつけ医は死亡診断書を作成できる(平成24年8月31日付医政医発0831第1号)
※「生前に診療していた傷病に関連する死亡である」と判定できるかどうかがポイント


 かかりつけ医がいない状況で患者さんが自宅などで亡くなった場合は、警察に連絡します。そして、検死を経て、死体検案書が交付されます。
 死亡届については、死亡診断書、あるいは死体検案書を市区町村の窓口に提出して行います。
 「警察が家に来るのは避けたい」といった場合には、かかりつけ医の存在が必要なのです。

 自宅で患者さんが亡くなった場合には、家族が触ったり動かしたりしてはいけません。裸で亡くなっていたら服などをかぶせてあげたいでしょうが、医師や警察の到着を待ちましょう。不審な点がないことを示すために、亡くなったときの状態を保つ必要があるのです。

 一人暮らしの在宅医療や看取りは可能になってきていますが、ここまで紹介してきたように、それなりの準備が必要です。元気なうちに、親類や知人などと話し合っておくといいでしょう。

■主な参考資料
死亡診断書(死体検案書)について

東京弁護士会

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