3-3 かかりつけ医が必要なのだが

 3-3 かかりつけ医が必要なのだが

 大学病院などの大病院で、「先生にお任せします」と患者さんが受け身になっている例は少なくありません。患者さんにしてみたら、自分の体とはいえ、臓器がどのような働きをしているのかを知らないし、病気のことなど考えたくもありません。ですから、医師に提案された治療を「はい、ありがとうございます」と無条件で信用してしまい、効果が出なかったときに「言われたとおりに治療を受けたのに!」「こんなはずじゃなかった」「ウソつき」「なんとかしろ」と憤慨しがちなのです。

 患者さんの家族についても、「大学病院に連れて行けば、治る」「大きな病院ならば安心だ」と思い込んで、患者さんの意向を確認せずに連れて行こうとする例も見聞きしています。

 ただ、 基本的に、医師は非常に忙しく、診察や治療に日々追われています。大学病院では、かつて大ヒットしたドラマで描かれたように、学会への出席や論文の作成など、仕事量がさらに増えています。そして、診療科が分かれているため、さまざまな病気を合併している患者さんについては専門ごとに複数の医師が診療します。自分の専門分野では高度な知識と技術はあっても、それ以外はよくわからないということも、当然あるでしょう。

 そもそも、パーフェクトな医師は存在しません。医師も人間ですから、たとえ素晴らしい技術と熱意を持っていても、寝不足だったり、家族げんかでショックを受けていたり、たまたま知識を得ていなかったりすることはあるのです。
 どこの病院に行ったとしても、当り外れはあるし、間違いはあります。大きいから安心というのは、思い込みです。

 大病院は、基本的には医学的な治療をする場です。そのため、患者さんと必要最低限のコミュニケーションしか取れないことも珍しくありません。担当していた医師が異動することもあるでしょう。
 一方、「かかりつけ医」は、継続的に患者さんを診察している医師で、普段、体調の悪いときに足を運ぶクリニックの医師や、訪問診療を行っている在宅医が相当します。日本医師会では「健康に関することを何でも相談でき、必要な時は専門の医療機関を紹介してくれる身近にいて頼りになる医師」と説明しています。
 なお在宅医療には、往診と訪問診療があります。往診は、急変時や死亡時などの緊急性のある訪問です。一方、訪問診療は、前もって計画して、定期的に行う訪問です。患者さんの自宅だけでなく、有料老人ホームに入居している際にも在宅医療は受けられます。


 症状が少しずつ悪化していき、心臓などほかの臓器の機能低下も起こる慢性腎臓病は、オーダーメイドの治療が必要になります。患者さんの生活を第一に、看護師やヘルパーなどがチームとなって寄り添うケアをかかりつけ医は行います。病気の不安や恐怖を抱いている患者さんにとっては、専門家に寄り添ってもらえることが安心につながります。

 そんなかかりつけ医ですが、その多くは開業医だと考えられます。そして「医師が1人だけ」というケースは珍しくありません。
 患者さんの体調は、当たり前の話ですが、計画的に調節することはできず、早朝や深夜に往診が必要になる可能性があります。そんな患者さんを、かかりつけ医は何人診ることができるでしょうか。
 高齢化が進んでいる日本で、国は医療費を減らそうとしています。こうした状況では、かかりつけ医はおろか、医師も不足するという印象です。慢性腎臓病に限らず、「すべて医師にお任せ」「いつでも医師に診てもらえる」状況ではない以上、患者さんも家族も病気や治療法について学んでおく必要がありそうです。
 

■主な参考資料
病院勤務医も無縁ではない「かかりつけ医機能」

患者負担増・医療費削減の流れを変える


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