2-2 タイプ・目的別「慢性腎臓病の本」ガイド

 2-2 タイプ・目的別「慢性腎臓病の本」ガイド

 慢性腎臓病と診断される人が増えてきたことから病気への関心が高まり、腎臓を解説する本が多数出版されるようになりました。そのため、情報が多すぎて困っているという人も多いのではないでしょうか。
 本書では慢性腎臓病に関する情報は最小限にとどめているため、読者のタイプや目的に分けて、お勧めの本をピックアップしました。

〇腎臓について、広く、浅く、たくさんの情報が欲しい

→文響社の健康書
→ムック(ただし、腎臓病患者向けの料理本を除く)

 腎臓に関するムック(大型の本)については、基本的には一つのテーマを掘り下げるのではなく、さまざまな話題を詰め込んだ総花的な内容になっています。そのため、腎臓について全く知識のない人でも読みやすいでしょう。
 また、『国立大学教授・腎臓の世界的名医が教える 運動を頑張らなくても腎機能がみるみる強まる食べ物大全』などの文響社の健康書は、一般的にムックと似た作りになっています。



〇加齢が気になる

『腎臓病のことがよくわかる本』(監修/小松康宏 講談社)

 この2冊は、図版が多く文字が大きいので、誰でも負担なく読めるでしょう。腎臓の機能や病気、減塩のコツなどがコンパクトにまとまっています。
 最大の特徴は、「腎臓に関する不安が解消して、希望が持てる内容」ということ。

 『腎臓病のことがよくわかる本』(監修/小松康宏 講談社)





〇予防として、特に食事が気になる

→黒尾誠博士の著書すべて

 お勧めしたいのが、『腎臓が寿命を決める 老化加速物質リンを最速で排出する 』(幻冬舎新書)など黒尾誠博士の著書です  。サブタイトルでも明確なのですが、リン、特に無機リンが血管に与えるダメージについて、詳しく解説されています。
 この本を読むだけで無機リンを摂取したくなくなるだけでなく、無機リンを控えるだけで自然と塩分の摂取量が減らせるという効果もあります。理由は、無機リンの多い加工食品のほとんどが、塩分も多く含まれているからです。




〇治療段階で、タンパク質や塩分、カリウムを制限できるメニューが知りたい

『専門医が教える 組み合わせ自在 腎臓病レシピ』(著/岩﨑啓子 監修/両角國男  西東社)

 慢性腎臓病の食事療法が始まると「どんな料理を作ればいいのかわからない!」「何を食べていいのかわからない!」という状況に陥りがち。『専門医が教える 組み合わせ自在 腎臓病レシピ』(著/岩﨑啓子 監修/両角國男  西東社)は献立について丁寧に解説されています。



〇運動について知りたい

→上月(こうづき)正博博士の著書(ただし、文響社の本は除く)

 慢性腎臓病の運動療法の第一人者は、上月(こうづき)正博博士。東北大学に上月博士が在籍しているときに考案した「腎臓リハビリ」が『腎臓の名医が教える 腎機能 自力で強まる体操と食事』(徳間書店)、『東北大学病院が開発した 弱った腎臓を自力で元気にする方法』(アスコム)などで紹介されています。



〇腎臓の働きを知りたい(入門編)

『人は腎臓から老いていく』(著/髙取優二 アスコム)

 『人は腎臓から老いていく』(著/髙取優二 アスコム)は、腎臓の構造と対応する働きを、ゆったりと解説しています。腎臓がどのような臓器なのか、どうして大切なのかを簡単に知りたい場合は、この本がぴったりです。



〇腎臓の働きを深く知りたい

→坂井建夫博士の著書『腎臓のはなし  130グラムの臓器の大きな役割』(中公新書)『世界一美しい人体の教科書』(筑摩書房)
→『病気がみえるvol.8 腎・泌尿器』(メディックメディア)
→『腎臓』   ( 臨床生理学シリーズ )(編集/黒川  清 南江堂)

 『腎臓のはなし  130グラムの臓器の大きな役割』(中公新書)については、著者の坂井建夫博士は数多くの医学書で腎臓をはじめとした人体の仕組みを解説している、解剖学の第一人者です。

『病気がみえる』(メディックメディア)シリーズは、類書の中では医学関連に詳しくない人でもわかりやすいので、お勧めです。

〇腎臓について幅広く知りたい

『図解・内臓の進化   形と機能に刻まれた激動の歴史』 ( 著/岩堀修明 講談社 ブルーバックス  )

 腎臓の面白さ、すばらしさは、その「選択力」にある。(中略)腎臓はつねに体内の状況に即した間違いのない選択をし、淡々と仕事を実行している。

 動物が陸上へと進出し、どのように腎臓が変化していったのかを詳しく解説しているのが、『図解・内臓の進化   形と機能に刻まれた激動の歴史』 ( 著/岩堀修明 講談社 ブルーバックス  )です。
 『腎臓の教科書 体液の循環・浄化から見る驚異の生命維持システム』(著/髙取優二 講談社ブルーバックス)では、どうして心臓や脳などと相関しているのかなど、さまざまな話題が盛り込まれています。






※腎臓というよりも、東洋医学の「腎」が話題になっている

 東洋医学の五行説があり、肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)腎(じん)の五臓がそれぞれに機能し、相互に働きかけてバランスを取り、体を維持していると考えられています。
 五臓の腎はあくまでも「先天の気を貯蔵するもの」「体内の水をつかさどるもの」といった概念なので、臓器の腎臓とだけ対応しているわけではありません。
 『腎臓毒出しスープ  これだけで不調が消える! 』(著/大野沙織 ワニブックス)や『疲れをとりたきゃ腎臓をもみなさい』(著/寺林陽介 アスコム)は、書名に「腎臓」と入っているものの、著者が鍼灸師で、内容的には東洋医学の「腎」です。スープのレシピには塩分などの栄養計算が行われていないし、腎臓自体はもむことはできません。
 「腎」の本として、健康維持のために参考にしたい内容です。

※尿のトラブルのほとんどは、膀胱や尿道が原因である

 尿失禁、頻尿といった「尿のトラブル」「シモの病気」のほとんどが腎臓が直接の原因ではありません。男性の場合は前立腺肥大(すべての哺乳類のオスも存在し、膀胱のすぐ下に位置して尿道を囲む臓器)、女性の場合は骨盤底筋群の緩みと、膀胱が過敏になった過活動膀胱が多いようです。
prostateが前立腺(Wikipediaより)



尿失禁 
〇膀胱などを支えている骨盤底筋群の緩んで、尿の出口がキュッと締まらなくなった
〇前立腺肥大で尿の出が悪くなり、膀胱に残った尿が少しずつ漏れる

頻尿
〇前立腺肥大で尿の出が悪くなり、尿が少しずつしか出せなくなった
〇膀胱が過敏な状態(過活動膀胱)で、膀胱に少量の尿しかためられない(生活習慣やストレスが原因のことも)
〇膀胱に細菌が感染して炎症が起こり(膀胱炎)、膀胱の知覚神経が刺激される
〇尿路で、尿に含まれるカルシウムやマグネシウム、尿酸などが結晶化し(尿路結石症)、結晶が膀胱を刺激する



 腎臓、膀胱、尿道といった泌尿器系の話がまとまっているのは、『寿命の9割は「尿」で決まる』(著/堀江重郎 SBクリエイティブ)です。



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