「BOOKSELLERS & Co. Spring Summit 2026 における共同声明」とひとり出版社の光明
『ヤクザ物語設定マニュアル』を自費出版する予定であるライターの鈴木智彦さんが、Xで次のポストをしていました。
>自費出版だと金の流れを疑われて在庫押収されるとか無きにしもあらずなので、すべてちゃんと申告してますし、押収の心配はないと思いますよw あと出版社から出せないんじゃなく、出したくないんです。
俺だけじゃないと思うんですけど、出版社を通さずに仕事するとどうなるかやってみたくって。コミケとか文フリで売ってみたいです
「出版社から出せないんじゃなく、出したくないんです」というところで、ちょっと笑ってしまいました。自分もそう思った時期があり、ひとり出版社を行っていたからです。鈴木智彦さんと事情は違うかもしれませんが。
自分の場合は、ライティングをした際に、担当編集の“訂正”を煩わしく思っていました。医学系の書籍の制作だと、担当編集に間違った“訂正”をされてしまい、それを訂正するために担当編集に説明するのに、かなりの手間と時間がかかるという経験を何度もしました。この作業で「なんでこんなことをしなければならないのか……」という後ろ向きな気分になり、とても疲れるのです。
鈴木智彦さんについては、自分の名前で、「裏社会」という専門分野でしっかりとした出版実績を残しています。ですから、ひとり出版社でも十分に利益を上げられると予測します。(鈴木さんの発言での「自費出版」はひとり出版社を指しているのではないかと)。
そして一部の書店も、ひとり出版も取り込んでいこうという意欲を抱いているのではないでしょうか。 「BOOKSELLERS & Co. Spring Summit 2026 における共同声明」を読んで、そうした未来が見えました。
○BOOKSELLERS & Co. Spring Summit 2026 における共同声明
ちなみに、自分がひとり出版社を行っていた9年ほど前の話ですが、チェーン店の書店員から入荷したいという電話がありました。ただ、自分が取次と契約していなかったため、その時には取引はありませんでした。おそらく、別のひとり出版でも、同様のケースが多かったことでしょう。
書店側にすれば、個別に出版社と取引するのは面倒です。一昔前は、特にそうでした。逆をいうと、書店は取次に「全部おまかせ」も可能で、書店が本の目利きをできなくても取次が勝手に本を送ってきてくれるから、それを棚に並べて、売れなければ返品すればよかったわけです(かなり極端な話ですが)。
出版不況の中で、「全部おまかせ」書店は消えていったのでしょう。ちなみに自分の母親が経営していた書店も、その一つです。
母親が書店をやっていた頃には、コンピュータなど普及していません。スリップに書店のハンコを押す作業、数えてゴムで束ねる作業などを手伝った思い出もあります。
しかし今は、AIが経理などをサポートするでしょう。便利な時代になりました。書店も、面倒な作業はAIに任せて、目利きなどに時間をかけられそうです。
なお、「BOOKSELLERS & Co. Spring Summit 2026 における共同声明」には、取次の日本出版販売も名を連ねています。一般論として、直取引されると問屋は仕事がなくなって困るのですが、出版関係だとそうでもないのでしょう。
出版社については、講談社がワニブックスを完全子会社にするなど、グループ化が進んでいます。なんだか、直取引がしやすい形で、静かに業界が再編していっているような印象を抱いています。大きな出版グループが直取引を積極的に導入して、古くから取次と契約していた中規模の出版社が既存の流通経路のままで、ひとり出版社など小規模の出版社はヒット作を捻出して直取引を目指すという方向性になるのかなと思ってしまいました。
矢部太郎さんのたろう社はひとり出版社で、オールカラー992ページで税抜3500円の『光子ノート』を刊行しています。商業出版だと企画が通らないようなとんがった、なおかつ非常に分厚い本も、今の流通では書店に並ぶのだと、ちょっと驚いてしまいます。
数年前と比べて、ひとり出版社に明るい未来が見えてきたようです。自分はもうやりませんが(在庫の本の管理が負担……)。
旭屋書店・東京旭屋書店 代表取締役社長 川上 幸弘うさぎや 代表取締役 笹沼 敬史NIC リテールズ 代表取締役 近藤 純哉大阪水嶋書房 代表取締役社長 水嶋 成年カルチュア・エクスペリエンス 代表取締役社長 鎌浦 慎一郎 ※FC事業と卸事業を統合したCCCと日販GHDの共同事業会社紀伊國屋書籍販売 代表取締役社長 西前 秋幸紀伊國屋書店 代表取締役社長 藤則 幸男紀伊國屋書店 取締役副社長 大野 繁治啓文社 代表取締役社長 手塚 淳三八文字屋 代表取締役副社長 五十嵐 勇大ビッグワン 代表取締役社長 大村 一夫ふたば書房 代表取締役社長 洞本 昌哉フタバ図書 代表取締役社長 CEO 土橋 武ブックエース 代表取締役社長 奥野 康作文教堂 代表取締役社長 佐藤 協治谷島屋 代表取締役社長 斉藤 晋一郎日本出版販売 上席執行役員 金丸 貴之
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