腎臓を巡る、長く、曲がりくねった物語 その11 血液の成分は、パチンコ玉サイズから小惑星サイズまでさまざま
最初に単位をおさらいしておきます。
1μm=1000分の1mm
1nm=100万分の1mm=1000分の1μm
しつこいのですが、μ(マイクロ)はn(ナノ)の1000倍です。
では、ここで血液の成分の大きさを見ていきましょう。
■血球グループ
単球 15~17μm ※血管の外に移動ができて、血管外でマクロファージになる
白血球(好中球、好酸球、好塩基球) 直径10~15μm ※血管の外に移動できる
リンパ球 直径7~17μm ※血管の外に移動できる
赤血球 直径7~8μm、厚さ2μm ※血球の大半を占め、血液1㎣当たり成人男子で500万個、成人女子で450万個、幼児で690万個ある
血小板 直径2~4μm
→小惑星サイズ(あくまでイメージ)
■脂肪グループ(リポタンパク質)
カイロミクロン 直径100nm以上
VLDL 直径30~70 nm
IDL 直径25~35 nm
LDL 直径18~25nm
HDL 直径5~12nm
→野球の硬球から小型の気球までのサイズ(あくまでイメージ)
■タンパク質グループ
アルブミン 直径6nm ※血漿に含まれるタンパク質の60%を占める※ラテン語で卵白を意味するalbumenが語源
免疫グロブリン 直径不明 ※γ・β・αがある
→野球の硬球サイズ(あくまでイメージ)
■糖質グループ
グルコース分子 0.6nm ※水に溶けやすい
→パチンコ玉サイズ(あくまでイメージ)
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イラスト/いらすとや |
■その他
電解質、ビタミンなど
あくまでイメージですが(しつこい……)、パチンコ玉から小惑星まで、さまざまなサイズのものが血液中を流れているわけです。
長さでいうと全身の血管の99%を占める毛細血管は直径5~15μmですから、白血球などは通れない毛細血管もあります。
赤血球に関しては、末梢まで酸素を届けるために、ギューギューに押しつぶされながら、毛細血管を通っていきます。
ということは、「血管を血液がサラサラ流れていく」というのは、現実的ではなさそうです。これも「あくまでイメージ」なのですね。
ただ、「ドロドロ」というのはありそうです。汗をかき過ぎたり、水分を取らなかったりして、血液の液体成分である血漿の量が減ると、濃度が高くなって、ドロドロと流れることになります。これを解消するために、細胞に含まれる水分が細胞の外に移動します。その量が多くなり過ぎると細胞が干からびた状態になって、本来の働きをできなくなるのです。これが脱水。
そうならないように、腎臓は尿としての水分の排出を抑えるように、尿細管での再吸収を促します。
では、水分を大量に取るとどうなるかというと、多くなり過ぎた分だけ腎臓が排出します。
腎臓は、体内の水分はできるだけ一定に保つように、尿の量を調整をしているわけです。
〇追記
「血漿」と「血清」には、次の違いがあります。
血漿・・・抗凝固剤入りの採血管に採取した血液を遠心分離によって、血球成分を採血管の底に沈降させ、その上澄みを「血漿」といいます。血清・・・抗凝固剤を含まない容器に採血し、血液を凝固させたのち、遠心分離をおこなうと、固形物(血球成分と凝固成分)が沈降し、液性成分が上層に残ります。
血液量は体重の 7~8%を占め,約 5 L である.比重は 1.05~1.06,pH は約 7.4 である.血液は,細胞成分(血球)と,それを囲む液体成分(血漿)とからなる.血液が凝固すると,血餅と血清に分かれる(図 7-2).
血漿中にはフィブリノーゲンという血液を凝固させる因子も含まれているが、血清には含まれていない。血清では、フィブリノーゲンはフィブリンとなり血塊の方に含まれている。つまり、血清と血漿の違いは、フィブリノーゲンが含まれているか否かである。ミネラルなどとの関係を考える場合は、血清でも血漿でもどちらもあまり変わりないので、ここでは、ほとんど同じ意味にとっていただいてよい。ただし、生体の血管内にあるときは血漿として存在し、血液を外に取り出して放置した場合は血清ということになる。
『食塩と健康の科学』著/伊藤敬一 講談社
■参考資料
リンパ球の世界(III-B)
社団法人千葉県臨床検査技師会 一般検査研究班
※フリーランスの編集者・ライターである『クラナリ』編集人(バリバリの文系)は、腎臓に関する記事や書籍に携わる機会が多いため、それに関連していろいろと考察しています。素人考えですが。
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