超文系人間がちょっと細かく調べてみた その2 体の60%を構成する水はどこから来たのかな?

 地球は「水の惑星」「奇跡の星」などと呼ばれています。
 そのため、超文系の人は、「『水』で『奇跡』なんだから、水は地球にしかないのかな……」などと、つい思ってしまいませんか。
地球(写真/NASA science



 しかし、宇宙の中で水は、ちっとも珍しくないのだそうです。

 水(H2O)を構成するのは、水素(H)と酸素(O)の原子です。
 水素については、宇宙ができた初期の段階で存在していました(地球の誕生から現生人類の出現まで、超文系人間がちょっと細かく調べてみた その1 私たちを構成する物質はどこから来たのかな?)。ですから、ごくありふれたもので、宇宙にある原子の92%(個数密度比)を占めています。

 酸素については、恒星の内部で起こる核融合によって作られます。

 宇宙空間を漂っている分子雲(星間ガス)の中で多い分子ベスト3が、水素分子(H2)、一酸化炭素(CO)、水分子(H2O)。つまり、宇宙のいたるところで、水は見つかっているわけです。

 太陽系だと、火星、土星の衛星であるエンケラドス、木星の衛生であるイオ・エウロパ・ガニメデ、ガリレオなど、水があるとされていました。

 ちなみに、太陽系では、自ら光る太陽が恒星、その周りを回って光っていない水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星が惑星。月のように惑星の周りを回るのが惑星です(冥王星は、2006年に太陽系から外れました)。

 太陽系の果てで誕生した小惑星「リュウグウ」の試料を、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の小惑星探査機「はやぶさ2」が回収し、試料が入ったカプセルは2020年12月6日に地球に到着しました。この試料からリュウグウには水の痕跡があるとわかりました。

 となると、水があること自体は、奇跡でもなんでもなさそうです。
 なーんだ。
 そう思っていたら、奇跡なのは海があることだったようなのです。

〇海として存在するほどの、たっぷりの水(水素と酸素)がある
〇液体として水が存在する(大量の水があっても、温度が高すぎると水蒸気になり、温度が低すぎると氷になる)

 水が液体として存在するのは、1気圧の場合は0度から100度までの間です。地球の気温はちょうどその範囲に収まっているので、海が存在するのです。

 そして、液体の水があるところでは、生命が誕生する可能性が高いと考えられています。
 地球が奇跡の星であるのは、海の存在だったわけですね。海こそが奇跡。

 話を「体の60%を構成する水はどこから来たのかな?」という問いに戻すと、ひとまず「宇宙」ということになります。そして、地球に水をもたらした候補には、次があります。
1 火星と木星の間にある小惑星が地球に飛んできた
 スノーライン(雪線、太陽から地球までの距離の2.7倍より遠いところ)の内側と外側にまたがって分布している小惑星の岩石は、氷由来の水分をたくさん含んでいます。この小惑星が地球に飛んできて、その水分が地球の水のもとになったと考えられています。
2 氷の塊である彗星(すいせい)が地球にぶつかった
3 地球の軌道がゆがんで、スノーラインより外側に地球が出ていって氷を獲得した

 また、JAXAのチームは、太陽から放出されている水素イオンが、月や小天体表層で珪酸塩鉱物(地球、月や小天体の主要構成鉱物)に衝突すると、水分子が生成されることを実験で確認しました。2020年にオンラインで発表したとのこと。

 人体、そして人体を構成する細胞も水で満たされている状態ですが、そんな水にはまだまだわからないことが多いようです。 

体内で最も多いのは水分で、年齢・性別で割合が変化(イラスト/イラストボックス


■参考資料
地球の水はどこから来たのかという大問題

日米宇宙探査シンポジウム

天体表層で水はシンプルに作られる

水の月、水の空 ―水から宇宙を考える―

海と地球の“深”知識
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