大きく様変わりする生業。例えば出版関連

  2028年までに、出版業界の形態が大きく変わると予想しています。

■2028年までに本の流通ルートとジャンルが増え、若い世代が本に親しむようになるんじゃないか問題
https://kuranari.blogspot.com/2026/06/2028.html

■2028年までに書店の棚から消えそうなジャンルを、noteの急上昇カテゴリから予想してみた
https://kuranari.blogspot.com/2026/06/2028note.html


 1997年をピークに、雑誌の売上は右下がりに減少してきました。

出典:『出版指標 年報 2025年版』

 コロナ禍だった2020年は、100誌以上が休刊したのだそうです。なかでも、"ふんわり"としたカルチャー・ライフスタイル・ファッション系の雑誌は、この年に数多く消えました。

 休刊した雑誌のサイトをいくつか見たところ、「デジタルに移行」と書かれているものがほとんどでした。また、発行元が事業停止、あるいは破産したケースも散見。クラウドファンディングで、復刊の資金を募る雑誌もありました。

出典:『出版指標 年報 2020年版』

 雑誌の主な収益は、読者に書店で購入してもらう「購読料」と、企業から広告を出してもらう「広告料」で主に成り立っています。2020年については、新型コロナウイルス感染症の影響でしょうが、30~40%ほど雑誌の広告収入が減ったようです。特に「不要不急」とされるイベント・エンターテイメント・旅行・ファッション関連などの企業は、出広を絞ったのではないでしょうか。

 出版不況でも、少しずつ衰退するのならば対応のしようがあります。しかし2020年のように新型コロナウイルス感染症の影響で一気に進んでしまうと、打つ手がありません。持ちこたえられなくて、雑誌はおろか発行元まで吹っ飛んでしまったと考えられます。


 毎月、あるいは毎週発行される雑誌の売れ行きが悪くなれば、書店にも影響が及びます。書籍とは違って当たり外れが少なく、毎月買ってくれる読者に支えられていた雑誌が、書店の安定した収入源になっていたからです。

 書店が減ってしまえば、ネットで買い物をする習慣のない人はもちろん、「電車の待ち時間にちょっと寄ってみて、立ち読みで面白かったから買う」という人も、本から遠ざかってしまいます。

 日本での本の流通制度である再販制度は、以前から問題視されていました。業界が急速に縮んでいく流れの中で、再販制度が廃止へと進んでいく可能性は高いでしょう。

出典:「出版産業の現状と課題」経済産業省商務情報政策局文化情報関連産業課

 安く、大量に、全国に本を行き渡らせるのには、無理があるのです。返品作業も、書店サイドには大きな負担です。

photo : Tuur Tisseghem(Pexels)


 出版は文化なのか、利益を追求するビジネスなのか。

 うまくバランスを取って、自ら存在意義を作っていかなければ、あっという間に出版社は沈没してしまうかもしれません。

 収入面で出版業界に依存してきたフリーランスの編集者、ライター、カメラマン、イラストレーター、デザイナーなども舵取りが必要でしょう。自分もその一人ですが。


 情報を迅速に、かつ大量に流せるインターネットが普及したことで、出版物の中でもフリーペーパーと雑誌については「情報を得る手段」としての価値は低下しています。

 読者にとって、生活に必要でもなく、エンターテイメント性がとりわけ高いわけでもなく、料理レシピやイベント日時、ニューオープンなど簡単な情報を得るだけなら、インターネットのほうが都合がいいわけです。すぐに情報を得られるだけでなく、紙のようにかさばることもありません。

 だとしたら、作り方や日時、値段といった表層的なことは排除して、大量の活字を使わなければ表現できない思想や生き様などに情報を絞ることで、これから雑誌は読者を獲得していくのかもしれません。その意味では、広告料に依存しない必要が出てくるため、フリーペーパーの運営は厳しいという印象です。

 余談ですが、最近のSNS、なかでもInstagramは、写真の加工がすごいですね。人間と思えないような目の大きさとか、異様に長いひざ下など……。そして風景についても、明らかにいじったとわかるものが増えています。こうした写真があふれ返る中で、雑誌はあえてリアルを追求するのも面白い気がします。

 さらに、読者の注文に応じて1冊単位で印刷・製本するオンデマンド形式の雑誌が出てきてもいいでしょう。「たくさん安く刷って、たくさん撒いて」というこれまでの雑誌とは真逆で、ZINEがオンデマンド形式の雑誌に近い形態です。
 今に始まった話ではないのですが、紙代もインク代も運送費も高騰する中、「たくさん安く刷って、たくさん撒いて」では収益は上げにくいものです。


 そして、出版物からの収益だけに頼るのではなく、できることは何でもやっていかなければ、出版業界で働くフリーランスは、暮らしていくだけのお金を得られないでしょう。これは別に今始まったことではありません。私たちの祖先は環境に合わせて生業を変化させながら、なんとか生き延びてきたのだと、人類の歩んできた長い歴史から感じています。


■参考資料
全国出版協会

今年は100誌以上の雑誌が休刊 コロナ不況の追い討ちで歯止めがかからない雑誌不況
https://www.seventietwo.com/ja/business/Magazine-Covid

街の書店が消えてゆくー林真理子さんと幸福書房のその後
https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20191014-00146872/

若者に「ZINE」文化じわり。個人編集の出版物継続、大手書店には専用棚

ガベージニュース出版社と売上高の関係をグラフ化してみるhttp://www.garbagenews.net/archives/1987633.html

日本の書店がどんどん潰れていく本当の理由
https://toyokeizai.net/articles/-/253083?page=3

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