6-2 PDラストという選択肢
6-2 PDラストという選択肢
「透析をやめるという選択肢」の中には、「病院での血液透析をやめるという選択肢」が含まれています。 血液透析を長く続けていると、心筋梗塞、弁膜症、心不全といった合併症、そして「透析療法中止で訴訟に至った例」で紹介したような血管の劣化などが起こり、血液透析を続けることが難しくなります。こうした場合に、心臓への負担が少なく、自宅で治療を続けられる腹膜透析に移行することができます。終末期に血液透析から腹膜透析へ移行することを、PDラストといいます。 腎臓の機能が低下している状態では、腹膜透析では過剰な塩分や水分、老廃物が取り除けません。ですから、血液の濾過効率よりも患者さんの生活の質を優先して、腹膜透析が行われるわけです。
『腎不全の緩和ケア』(監修/東京ベイ・浦安市川医療センター 鈴木利彦 南山堂)には「血液透析から腹膜透析へ移行し、自宅で最期を迎えた事例」、つまりPDラストの事例が紹介されていました。80代女性のケースです。
血液透析患者のエンドオブライフの特徴とその問題坂 洋祐
シャントの手術がうまくいかなくて、痛くて、もう死んじゃおうかと思って泣いてきた時、腹膜があるって教えてもらって、だから今生きていられるのよ。感謝しているわ。227ページ
1997~2001年まで、PDラストを受けた寝たきりの患者さん10例の報告がありました。基礎疾患は糖尿病性腎症が9例と慢性糸球体腎炎が1例で、平均年齢は71.6歳でした。
この報告では、PDラストについて、2つのポイントが指摘されていました。○透析液のバッグの交換方法○尿毒症治療の目標の設定
腹膜透析には、寝ている間に機械を使って行う自動腹膜透析(APD)と、日中に3~4回、透析液のバッグを自分で交換する連続携行式腹膜透析(CAPD)があります。 寝たきりの患者さんの場合、自分でバッグ交換が行えません。ですから家族など介護する人の負担が大きくなります。 介護する人が昼間働いている場合には自動腹膜透析、機械の取り扱いが難しかったり日中のバッグ交換が可能だったりする場合には連続携行式腹膜透析というように、選択肢があります。高齢で食事の摂取量が少ない患者さんについては、尿毒症の原因となる老廃物の生成が少ないので、連続携行式腹膜透でのバッグ交換の回数を減らすことも検討できます。
そして、終末期医療である以上、患者さんが尿毒症で苦しまない範囲で透析療法を行うことになります。そのため、貧血の改善と、精神運動活動性を良好に保つことが目標とされました。
医学的課題として、患者さんが糖尿病や動脈硬化などで、腹膜の状態が悪く、腹膜透析だと血液からタンパク質が失われて体内の水分バランスが崩れる点が挙げられていました。また、認知症などでカテーテルを抜いたり、ハサミで壊したりする例もありました。
そのほか、末期がんの患者さんで腎臓の機能が低下した際、腹膜透析が行われ、腹部膨満が解消されて、終末期の生活の質(QOL)が改善したケースも報告されていました。
■主な参考資料在宅医療におけるPDラストの有用性と課題
『透析を止めた日』 著/堀川惠子 講談社
『腎不全の緩和ケア』(監修/東京ベイ・浦安市川医療センター 鈴木利彦 南山堂)には「血液透析から腹膜透析へ移行し、自宅で最期を迎えた事例」、つまりPDラストの事例が紹介されていました。80代女性のケースです。
血液透析患者のエンドオブライフの特徴とその問題坂 洋祐
シャントの手術がうまくいかなくて、痛くて、もう死んじゃおうかと思って泣いてきた時、腹膜があるって教えてもらって、だから今生きていられるのよ。感謝しているわ。227ページ
1997~2001年まで、PDラストを受けた寝たきりの患者さん10例の報告がありました。基礎疾患は糖尿病性腎症が9例と慢性糸球体腎炎が1例で、平均年齢は71.6歳でした。
この報告では、PDラストについて、2つのポイントが指摘されていました。
○透析液のバッグの交換方法
○尿毒症治療の目標の設定
腹膜透析には、寝ている間に機械を使って行う自動腹膜透析(APD)と、日中に3~4回、透析液のバッグを自分で交換する連続携行式腹膜透析(CAPD)があります。
寝たきりの患者さんの場合、自分でバッグ交換が行えません。ですから家族など介護する人の負担が大きくなります。
介護する人が昼間働いている場合には自動腹膜透析、機械の取り扱いが難しかったり日中のバッグ交換が可能だったりする場合には連続携行式腹膜透析というように、選択肢があります。高齢で食事の摂取量が少ない患者さんについては、尿毒症の原因となる老廃物の生成が少ないので、連続携行式腹膜透でのバッグ交換の回数を減らすことも検討できます。
そして、終末期医療である以上、患者さんが尿毒症で苦しまない範囲で透析療法を行うことになります。そのため、貧血の改善と、精神運動活動性を良好に保つことが目標とされました。
医学的課題として、患者さんが糖尿病や動脈硬化などで、腹膜の状態が悪く、腹膜透析だと血液からタンパク質が失われて体内の水分バランスが崩れる点が挙げられていました。また、認知症などでカテーテルを抜いたり、ハサミで壊したりする例もありました。
そのほか、末期がんの患者さんで腎臓の機能が低下した際、腹膜透析が行われ、腹部膨満が解消されて、終末期の生活の質(QOL)が改善したケースも報告されていました。
■主な参考資料
在宅医療におけるPDラストの有用性と課題

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